都内在住の50代男性は飲食業で正社員として長年働いてきた。だが、新型コロナウイルスによる客数の激減で、「今月は休業したい」と経営者から言い渡された。月収は手取りで25万円ほど、住宅ローンを抱え、老親の介護もあり、貯蓄はほとんどない。

「休業手当として給料の60%を支払うと言われたが、それでは生活は厳しい。どうすればいいのか」

 社会保険労務士の北山茂治氏が指摘する。

「労働基準法に基づく休業手当は『使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当すれば平均賃金の60%以上が支払われます。しかし、新型コロナの感染で都道府県知事が行なう就業制限により休業する場合は、会社から休業手当が支払われない事態も想定されます」

 だからこそ、仕事を「休んだ時」や「失った時」に使える制度を複数知った上で、危機と向き合わなくてはならない。

 まず3月25日から開始された「個人向け緊急小口資金等の特例」による2つの貸付がある。休業によって一時的な資金が必要な場合、10万〜20万円の緊急小口資金を借りられる。

「休業などにより収入が減少し、緊急かつ一時的な資金が必要な方向けの無利子の特例貸付です。雇用の形態や働き方に限らず相談を受け付けます」(厚労省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室)

実質的な給付になることも

 さらに、失業などにより1回の貸付だけでは生活の維持が困難な場合、3か月にわたって総合支援資金を借りられる。

「2人以上の世帯の場合、月20万円以内が原則で、最大60万円となり、緊急小口資金と合わせて80万円の貸付が受けられます」(同前)

 いずれも“貸付”である以上、返済しなくてはならないが、特例がある。

「償還(返済)する時に、所得が減少したままの住民税非課税世帯などは償還を免除されるという規定があるため、生活困窮者には実質的な給付になる場合もあります」(ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏)

 貸付の条件も緩和されている。

「緊急的に行なう特例のため、窓口の各市町村の社会福祉協議会は弾力的に対応できるようにしています。収入の減少がわかる給与明細や銀行通帳をお持ちいただければ、資産状況をお聞きすることもありません」(前出・厚労省社会・援護局)

 臨時休校が続く小学生以下の子供の面倒を見るために休業した保護者は小学校休業等対応助成金がある。従業員(非正規も含む)は年次有給休暇とは別の有給休暇を取得できる。その際に企業が支払った賃金相当額が国から補填される。

「手続きは企業が行なうので事情を伝えましょう。孫の世話をした祖父母なども対象になります」(前出・森田氏)

※週刊ポスト2020年4月10日号