政府や自治体から外出自粛要請が続いていることを受け、外食もままならなくなっている一方で、代わって活況を呈しているのはフードデリバリー業界だ。

 都市部では近頃、自転車や原付バイクで料理を運ぶ「ウーバーイーツ」などの配達員の姿を頻繁に見かけるようになってきた。中には月に40万円稼ぐ配達員もいると報じられているが、皆が皆、大忙しというわけではないようだ。ウーバーイーツの配達員として働く40代男性が明かす。

「外出自粛となってからは暇な時間帯が減り、安定して仕事が入るようになった。とはいえ、そこまでは忙しくならないです。同業者に聞いたら、仕事を失ったスポーツインストラクターらが大挙して仕事をし始め、配達する側も増えているようです」

 配達ビジネスについて、経済評論家の加谷珪一さんの指摘は興味深い。

「実は、アメリカのオフィス街ではコロナ禍が始まる前からレストランから客足が遠のき、デリバリーへと軸足が移っていた。というのも、時差出勤やテレワークが増え、同僚と揃って食事をする機会が激減していたからです。

 日本でも、情報感度の高い外食産業の経営者はデリバリーへと需要が流れる可能性を念頭に、経営方針を模索。本来なら、5〜10年かけて増加していくはずが、コロナ禍で一気に加速した。今後はデリバリー中心の飲食店が増えると思われます」(加谷さん)

 加谷さんによれば、牛丼の吉野家もコロナ流行前から日本最大級の出前サービス「出前館」への参画に積極的だったという。今回はさらに従来はテイクアウトをやっていなかった飲食店まで広がっている。そしてこのトレンドは、ネットスーパーの台頭とも関係してくる。

「まだスーパーなどの小売店に直接足を運ぶ人が多く、『3密』状態になっているのが散見され、危険です。そんななか、配送サービスを利用する人も徐々に増えている。いまや通販大手『アマゾン』でも生鮮食品が買えるほどで、大手スーパーも当たり前のように配送サービスを展開しています。

 今後、日本でも玄関先に荷物を置く『置き配』が一般的になって配送の労力も大幅に軽減されると予想されるので、さらに普及に拍車がかかるでしょう」(加谷さん)

※女性セブン2020年5月7・14日号