いつ感染するかもしれない、重症化するかもしれないという不安と隣り合わせのコロナ時代に、私たちの死生観やお墓、供養のカタチはどう変わっていくのか。著書『いまどきの納骨堂 変わりゆく供養とお墓のカタチ』(小学館)の著者であるノンフィクションライターの井上理津子さんがレポートする。

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「意外にも、これまでと違う層──終活するには早い40代、50代くらいのおひとりさまからのお墓の問い合わせが増えています」と話すのは、「臨済宗実相寺・青山霊廟」(港区)管理事務所代表の岩田貴智さんだ。

「コロナ禍で、死というものが、老齢のものから年齢を問わないものに変わり、“自分事”になった。若くても、とりわけおひとりさまが漠然とした不安を感じるようになったからではないでしょうか」(岩田さん)

 青山霊廟は、仏壇型、ロッカー型のお墓を擁す納骨堂だが、40代、50代の独身者からの問い合わせが多いのは、1人用の「個人壇」(50万円〜)と、遺骨の一部を位牌に組み込まれた骨壺に分納する「位牌壇」(24万円〜)、親と共用する「親子壇」(200万円〜)の3種。

 問い合わせはできても、見学には行きづらい。そうした人に向けて、青山霊廟では、4月29日に「LINE見学」の案内を始めた。LINEで青山霊廟のアカウントと「お友だち」になると、スマホ画面から個別にオンラインで見学できる試みだ。

 オンラインで寺院やお墓とつながるという、新たな時代が来ているのだ。

 浄土真宗本願寺派(西本願寺)直轄寺院の築地本願寺には、2017年に新設されて以来、人気を集める合同墓(30万円〜)がある。従来の申し込みは、週4日、各50人定員で行われていた説明会に参加した人に限っていたが、3月9日に説明会の休止を決めた。代わりに、4月17日に僧侶が合同墓を説明する動画の配信と資料のダウンロード配布を開始した。

「『行けないが、申し込みたい』というかたからの問い合わせが相次いだからです。申込書の郵送受付も、目下、準備中です」と広報担当者。合同墓の説明動画は、すでに500回以上再生された。

「しんどい時こそ宗教者に頼って」

 その動画を見るため、築地本願寺のホームページにアクセスすると、本堂内の様子のライブ画像も配信されていた。6時から16時すぎの開門時間中、堂内にカメラが据えられ、パソコンからお参りができるのだ。7時〜、16時〜の勤行の時間には、僧侶が読経する声も姿も映し出される。1日のアクセス数は約350回だそうだ。

 オンラインでの相談に力を入れる寺院も出てきた。浄土宗の應典院(大阪市天王寺区)。かねてから終活や仏事に関する「おてら終活・宗活よろず相談」の窓口を設けていたが、4月27日に電話のほか、LINE、Zoomでも受付を開始した。相談員の終活カウンセラー、斎藤佳津子さんは、

「こんな時期ですから、日常のお困りごとの相談が多いのかと思いきや、ほとんどがお墓についての相談です。それも、以前は50代以降のかたから親のお墓の相談が多かったのに、10才若返りました。40代のかたが自分のお墓について相談されます」

 應典院の本寺・大蓮寺も、納骨堂(1人専用35万円〜)を擁す。前出の青山霊廟で聞いた「コロナ禍で、死が“自分事”になった」との指摘と符合する。

「気持ちが落ち込む時、しんどい時こそ、宗教者に頼ってください」と、超宗派の僧侶らで組織する一般社団法人「恩送り」代表理事の新田崇信さんは話す。恩送りでは、昨年、「供養の窓口」と銘打つ「法要館」(千葉県松戸市)を設け、遺骨預かり(1か月2000円)を始めた。単なる預かりではなく、毎日、線香、花、読経を欠かさない。

 すでに約100人の骨壺を預かっているが、コロナ禍で問い合わせが増加したという。さらに、恩送りメンバーの僧侶によるお墓参り代行(1万円)を松戸市と都内一円でまもなくスタートする。墓前に花を手向け、読経し、その様子をスマホのビデオで依頼者にリアルタイムで送る試みだ。

 長期的な新型コロナウイルスとの共生が始まった今、お墓、お寺との関わりも変容の時代を迎えている。

※女性セブン2020年6月11日号