全国に緊急事態宣言が拡大された4月以降、目立ち始めたのが現役世代の「若者」と定年後世代の「高齢者」の世代間対立だ。それを煽る一因となったのが、品薄のマスクや生活用品の買い占めを報じるニュースだった。

「早朝から店頭に列を成すのは年寄りが多い印象を受けた。年金生活で家にいるなら、買い占めの必要はない。こうした人のせいで、感染リスクに怯えながら働く若者にマスクが行き渡らないと思うと不快だし許せなかった」(20代男性)

 もちろん、列に並ぶのは高齢者ばかりではないが、ここで見えてきたのは「高齢者=年金暮らし=安穏と暮らしている」という現役世代の偏見だ。

 30代後半から40代の就職氷河期世代からは、さらに辛辣な声も聞かれた。

「高度経済成長期に社会人になった70代の団塊世代は、バブルも謳歌し人生を楽しんだ。働けば報われる時代だったが今は違う。貯金もできず、老後の保障もない。十分な蓄えがある年金生活者は、現役世代の生活を犠牲にしないでほしい」(40代男性)

 背景にあるのが、現役世代との「経済格差」だ。特に、老後の安定した生活を支える公的年金については、世代間の“不平等感”が根強い。社会保険労務士の中山大輔氏が指摘する。

「昨年の厚労省財政検証によると、2019年度のモデル世帯(会社員だった夫と専業主婦の妻の夫婦二人世帯)の年金所得代替率(*現役世代男性の平均手取り収入に対する年金受給額の割合)は6割を超えているが、経済が停滞し続ければ47年以降に40%を切るとの試算もある。30年後には、貰える年金が8割程度に目減りしているイメージです」

 もともと若い世代ほど負担が受益を上回る“払い損”という歪な構図が放置されていた。それに対し、コロナをきっかけに不満が噴出したのだ。

 もちろん、高齢者にも言い分はある。

「70歳以上の貯蓄平均は1800万円などと言われているが、貯蓄ゼロの世帯も3割を占めている。少子高齢化で現役世代の社会保障費負担が増えていると言うなら、若い人も家庭を持ち、どんどん子供を作って日本経済を支えるべきだ。好き勝手やって夜の街でコロナに感染している連中に文句を言われる筋合いはない」(70代男性)

 両者の溝は埋まりそうにない。

※週刊ポスト2020年7月3日号