ふるさと納税を巡る国と地方自治体の法廷バトルは、大阪府の泉佐野市に軍配が上がった。総務省にふるさと納税制度の指定自治体から除外された同市がその取り消しを求めた裁判で、最高裁が6月30日、大阪高裁判決を破棄し、同市の訴えを認めたのだ。

 千代松大耕市長(46)は市役所の一室で、総務省による“泉佐野潰し”をこう振り返った。

「本心としては、司法に判断を仰ぐようなことはしたくなかった。ところが、(除外の通達後に)総務省幹部の『数年は泉佐野市の参加は認めない』というような発言があった。泉佐野市を見せしめにするようなやり方だったので、判決には正直、ホッとしました」

 2018年度に全国で断トツの497億円の寄付を集めた泉佐野市。総務省が問題視したのは、寄付の返礼品にギフト券も含まれていたことや、地場産品以外の高額商品が数多くあったことだ。

 新制度では高額返礼品などが認められなくなり、「寄付額に対する返礼品割合3割」「地場産品に限定」に規定が厳格化される。同市の地場産品といえば「泉州タオル」や水ナス、冬キャベツなどで、旧制度下での高額返礼品に比べれば目玉返礼品としてインパクトに欠く。秘策はあるのか。

「法令をしっかり遵守しながら、『とにかく1000の返礼品をラインアップするように』と指示しました。泉佐野市には、ふるさと納税の三種の神器と呼ばれる“肉、米、カニ”のようなキラーコンテンツはありませんが、種類の豊富さで泉佐野らしさ、存在感を示していきたい」

 関西国際空港のある泉佐野市は、コロナ禍にあって今年5月のインバウンド客が昨年同月比で99.8%減。「スターゲイトホテル関西エアポート」は閉館に追い込まれ、空港の対岸に建設中だった大型ホテルも、今年11月の開業を前に、運営会社が倒産する事態に陥っている。

「誘客につながる宿泊券や、地元飲食店の食事券……外国人観光客に頼らない“脱インバウンド”をテーマに掲げたい」

 独自色を打ち出し、ふるさと納税日本一の自治体の立場を再び築けるか。

●取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

※週刊ポスト2020年7月24日号