2020年は日本の喫煙者にとって大きな節目となる年。4月1日から改正健康増進法が施行され、多くの施設において屋内は原則全面禁煙となった。喫煙者にはショックな事態も新型コロナウイルスの影響による外出自粛でウヤムヤになっていた印象だが、街に少しずつ人が戻る中で徐々に問題点も浮き彫りになりつつある。

 改正健康増進法の主な狙いは、受動喫煙も防ぐこと。客席面積など、いくつかの例外規定はあるが、喫煙できるのは原則的に喫煙室のみとなる。同じ日に東京都で施行された受動喫煙防止条例はさらに厳しく、規制の対象となる飲食店は、全国が50%未満なのに対し、東京都は80%以上と見られている。だが、東京23区内の某駅の駅前では、かえって受動喫煙の状況が悪化しかねない事態が発生している。同駅を利用するOさん(40代・男性)がいう。

「その駅は都内でも乗降客数が上位の駅で、居酒屋が多い“飲兵衛の街”としても有名ですが、ここ最近、外で喫煙している人の数が増えました。どうやら店側が、店内ではタバコが吸えないので、外に灰皿を設置。客は店の外に出てプカプカとタバコを吸っているようです」(Oさん)

 同じ区の別の駅前でも似たような事態が起きている。その駅を頻繁に利用するYさん(40代・女性)はいう。

「駅前には、車1台通るのがやっとの細い道沿いに飲み屋が並んでおり、多くの住民はそこを通らないと家に帰れません。ところが夜になると、至る所にタバコを吸っている人がいて……。個別の店の外とかじゃなくて、一定区間ごとに大きな喫煙所があれば、こんなことにはならないと思うのですが」(Yさん)

 その区では、区内全域で歩きタバコやポイ捨てを禁止している。特にOさんとYさんが指摘する場所は禁煙特定区域に指定されており、路上喫煙防止指導員による禁煙パトロールも行われている。それでもタバコを吸う人が目立って見えるのはなぜか。同地区の居酒屋の店長はこう語る。

「屋内禁煙になって4か月近く経ちますが、そもそもタバコを吸う人が減ったわけではないでしょう。うちは入口が道路から奥まった場所にあり、私有地部分があるため、『吸いたい人はそこで勝手にどうぞ』というスタンスです」

 同店の場合、公道から店に入るまでのスペースに、3〜4人くらいなら入れる場所がある。Yさんがいう“小道”を歩くと、縦長の灰皿がある店、灰皿代わりの一斗缶を置いている店、円盤型のアルミの灰皿が地べたに置かれた店など、多くの店が“喫煙者対策”を講じている。前出の店長はいう。

「商店会でも『見苦しい』という声はあるみたいですが、別に法を犯しているわけではないし……。締め出しばっかりしていると、そりゃあどっかにしわ寄せが来ますよね。喫煙、分煙、禁煙などはお店ごとに考えればいい話だし、お客さんも店を選べばいいだけのことなんですけどね。ただまあ、コロナのことがあるので、正直今は違反していない部分のことまで考えていられない状態ですよ」

 コロナ禍で、ただでさえ客足が鈍っている飲食店。店側も苦慮している姿が垣間見える。