一家の大黒柱が亡くなれば、経済的な心配が生じるが、遺族が申請すれば払い過ぎたお金を取り戻すこともできる。

 たとえば、故人が所得税を払い過ぎていた場合は、準確定申告をすることで取り戻せる可能性がある。税理士の相原仲一郎氏が解説する。

「準確定申告は、故人に代わって相続人が確定申告をする制度。亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに発生した所得を死後4か月以内に申告します。

 事業所得や不動産所得があったり、給与所得や雑所得が源泉徴収されていた場合や、故人が亡くなる前に払った医療費などがある場合、払い過ぎた税金が還付される可能性があります。なお、還付金は相続財産に組み込まれます」

 手続きは通常の確定申告とほぼ同じで、所轄の税務署で行なう。

 また、故人の死亡で発生する税金のうち、過払いが多いのが相続税だ。

「納税者本人や税理士のミスが原因で過払いになることが多い。中でも目立つのが不動産の評価ミス。本来の価格より高く評価したために相続税が増えるケースが多く、相続した相続財産にかかる税額の計算明細書などから、後に税理士などの専門家が評価ミスを発見して指摘してくれることがあるのです」(前出・相原氏)

 こうした場合、税務署に相続税の更正の請求書などを持参し、相続税の更正の請求(別掲図参照)を行なうと、払い過ぎた分が戻ることがある。

「相続税は死去から10か月以内に申告を行ないますが、そこから5年以内なら相続税の更正の請求が可能。土地の評価など過払いの判断は素人には難しいので、疑義が生じたら税理士など専門家に相談してほしい。申請でわからないことがあれば、税務署の窓口も相談に応じるはずです」(前出・相原氏)

 家族が亡くなった後の生活を安心できるものとするために、制度を賢く利用・申請して、1円でもお金を取り戻したい。

※週刊ポスト2020年10月9日号