ママ友同士の見栄の張り合いにも、地域性があるのか。都心から約2時間の郊外に念願のマイホームを建てた30代主婦は、引っ越し先で知り合ったママ友付き合いの中で、思いもよらぬマウンティング攻撃を受けたという。フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。

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「田舎のママ友付き合いって面倒ですね。都内にいた頃のほうが、ずっと気楽でした」

 そう語るのは千葉県在住の主婦、増田公子さん(仮名・33歳)。幼稚園ママ同士の見栄の張り合いにうんざりしていた。

 銀行員の夫と娘(4歳)の3人暮らしの増田さん一家。こだわりの住宅を建てるという夢をかなえるべく、都心から2時間近く離れた地域に引っ越したのだという。50坪以上の理想のマイホームは手に入れたものの、周りの人間関係には恵まれなかったようだ。

「娘の通う幼稚園には、古くからの土地持ち、いわゆる地主の奥様が多いです。不動産、造園業、内装業などが多い印象。話を聞く感じでは、かなり余裕のある生活をされているそうですよ」(増田さん、以下同)

 金持ちエピソードはお腹いっぱい聞かされてきた増田さんであったが、その中でも引っかかったというのが、クレジットカードにまつわる話だ。

「我が家は夫が銀行員ということもあり、お金にはシビア。『クレジットカードは働きに出てから』と言われており、今は私が持つことを禁止されています」

 育児に専念する生活を送っている増田さんとしても、夫の意見に賛成だったという。

「どこのカード渡されてるの?」

「ママ友たちに、『どこのクレジットカード渡されてるの?』と、突然聞かれました。いつもの見栄の張り合いかなと思い、持っていない旨を伝えたんです。そうしたら、その場にいたママ友たちから『不自由な生活じゃない? かわいそう〜』って、憐れむような目で見られました」

 どうやらママ友たちは、夫から家族カードを渡されており、それを使って自由に買い物をしているそうだ。

「正直な話、こんな田舎のどこでクレジットカードを使うのか……。スーパーマーケットくらいしか思いつきませんよ」

 今の段階ではクレジットカードを持っていなくても生活に困らないと話したそうだが、ママ友たちからの返答は意外なものだった。

「『現金ってかなり汚いみたいだよ。コロナの心配もあるし、これからの時代はクレジットカード持っていたほうが良いよ』と言われました。たしかに言っていることは分かるんですが、我が家にも事情があるので……」

“魔法のカード”に喜ぶママ友たち

 夫と話し合った結果、マイナポイント制度の開始に合わせてQR決済サービスを利用することに。これなら接触をできるだけ避けられるし、割り勘機能もあるのでスムーズなやり取りができると思ったのだが……。

「『えー、なんでQR決済だけなの? もしかして、引き落としに増田さんの口座と紐づけされてない? 独身時代の貯金、狙われてるかもよ!』と、言われました。どうやらママ友は、夫の口座引き落としのクレジットカードを持たされることが愛情の証だ、と言いたかったようです」

 夫のカードを、欲しいものがあったときにすぐに購入できる“魔法のカード”のように語るママ友たち。増田さんはその話を聞いてうんざりしたものの、笑顔で「夫と相談してみるね」と、返答したそうだ。

 田舎特有の狭いコミュニティということもあり、このママ友たちと関係を切るのは難しいとのこと。この先も付き合っていかなくてはいけないと思うと、頭が痛くなると話していた。

「この現状を抜け出すには、私が働きに出てクレジットカードを持てるようにするしかないかもです。でもきっと次は、『働かされてるの? かわいそう〜』が始まるんでしょうね……」

 夫からクレジットカードを持たされていることをステータスだと感じている層は、一定数いるようだ。もちろん信頼されているからこそできることではあるものの、中には増田さんのように話し合った結果それをしない家族もいる。

 新型コロナウイルス対策の一環として、接触機会を減らせるクレジットカードを持つことを勧めるのは賛同できるが、“愛情”などといった主観的な物差しで、マウンティングを取りながら話を展開するのは違う気がする。