収束の見通しが立たない新型コロナの影響は、医療・介護などの“終活業界”に暗い影を落としているが、葬儀にも、コロナ禍の影響が及んでいる。

 葬儀ブランド「小さなお葬式」を運営するユニクエストが4月に行なったアンケート(全国86の葬儀社が回答)では、9割の葬儀社で「緊急事態宣言に伴い葬儀の規模や内容が変化した」という。

「通夜告別式をしない『直葬』が増えたと答えた葬儀社は5割、1日以上かかる葬儀が減ったと答えた葬儀社は4割弱でした」(ユニクエスト広報担当者)

葬儀の積立金が水の泡に

 縮小傾向にあった葬儀はコロナにより小規模化が加速している。利用者にとって深刻なのは、収益が悪化した葬儀社の倒産だ。たかほう葬祭(東京都)の浜島貴一社長は警鐘を鳴らす。

「生前から積み立てる互助会形式の大手葬儀社が潰れた場合、会員への影響が大きい。子供らに迷惑をかけたくないと、互助会に入ったにもかかわらず、倒産で積立金を失う恐れがあります」

 そうしたリスクを避けるために、事前にいくつかの葬儀社をリストアップしておきたい。

「1社に絞らず、いくつか調べておくことが安心につながります」(同前)

住職不在で「廃寺」に

 全日本仏教会が4月に全国364か寺にアンケートを行なった結果、77%が前年に比べて収入減少と回答。約2割は「80%以上減収」とし、「葬儀」などと関係する寺院を取り巻く事態は深刻だ。

「過疎地域ではコロナ禍の影響で月参りや法事の中止が相次いでいる。お寺の倒産にあたる『廃寺』の増加も懸念されています」(全日本仏教会関係者)

 廃寺が増えると、何が起きるのか。柳谷観音大阪別院・泰聖寺の純空壮宏住職はこう指摘する。

「全国7万か寺のうち、住職のいない無住寺はおよそ1万か寺に上り、年々増えています。無住寺はいずれ廃寺として宗教法人を解散します」

 菩提寺がなくなれば、葬儀の際のお経の依頼にも困る。そうなった時に慌てないため、日頃から菩提寺の経営状況をチェックしたい。前出・純空住職はこういう。

「寺院の経営は、会社で言う社長、つまり住職の手腕次第です。来訪者への対応などから住職の人柄、資質を見極めるともに、本堂や庭、墓地の手入れもチェックしたい。境内に線香の匂いがしていれば、参拝者が多いということがわかります」

納骨堂閉鎖でお骨だけ返送

 日本石材産業協会が墓石小売店99社に行なったアンケート(4月実施)によると、「前年同時期に比べて来店数が減った」との回答が78社(78.8%)に上った。その理由として71社が「新規建墓数の減少」と答えている。墓石店オーナーが語る。

「昨年の消費税増税前の駆け込み需要の反動があるなか、コロナが追い打ちをかけた。墓石の購入や納骨がコロナで先送りになり、資金繰りとしては厳しくなっている」

 一方で墓石業者が関係しないのが建物内で遺骨を保管する「納骨堂」だ。

「草むしりや掃除などのメンテナンスが不要。暑さや寒さ、風雨がしのげて、高齢者でも一年中お参りしやすいという点が人気です」(葬儀・お墓・終活コンサルタントの吉川美津子氏)

 ただし、納骨堂にも心配はある。

「納骨堂は都市部を中心に需要があるが、特に大型の納骨堂については地方では採算がとれず、倒産するケースも出ている。万が一倒産した場合、納骨したお骨は返ってくるが、購入費用や永代供養などで払ったお金は返ってこない。経営の実態をよく見定める必要があります」(前出・吉川氏)

※週刊ポスト2020年11月6・13日号