配偶者と死別したり、あるいは自立したりしたことによって、「おひとりさま」となる女性は少なくない。「おひとりさま」となったなら、それまでとは生活も変わるだろう。やるべき家事も減り、使うお金も減るかもしれない。そして人間関係もシェイプアップされるのだ。

 一般社団法人シニア生活文化研究所代表理事で「没イチ会」代表の小谷みどりさんは、物理的なものだけでなく、「人間関係も夫や子供がいた頃の関係をそのまま継続する必要はない」と話す。

「夫の親戚とのつきあい方が大きく変わりました。これまでは“嫁として”という意識から、帰省したり連絡を取ったりしていましたが、姑とは頻繁に連絡を取り合うもののきょうだいや姪甥とは何年も会っていません。夫が旅立ったら親戚関係も終わるのだから、義理で付き合うのはやめようと思ったのです」(小谷さん)

年賀状で1年の1%を使う

 東大名誉教授で社会学者の上野千鶴子さんは、年賀状そのものを「20年前にスッパリやめた」と言う。

「以前はデザインを考えて、一人ひとりに一筆書いて、正月を迎えて出していない人から年賀状がくるとそれに返事を出して。考えてみたら、年賀状のために3日も4日もかけていたんです。あるとき、ふと“1年365日のなかで3、4日ということは、私は年賀状のために人生の1%を使っているんだ”と思い、“今年で年賀状は失礼いたします”と言ってやめました。当初は“不義理だ”“社会人として失礼だ”なんて言われもしましたが、それでも痛痒を感じません」(上野さん)

 同居していた母親を5年前に見送り、子供は独立したという料理研究家の谷島せい子さんも、いまは出していないと声をそろえる。

「お料理スタジオを開いているので、年賀状の量がものすごかったんです。書いて出すことそのものが大変でしたし、量が多いゆえに、身内に不幸があったかたに間違えて出してしまう可能性もありました。そこで60才を機に、すべてやめました」(谷島さん)

お中元やお歳暮をやめた理由

 谷島さんは年賀状と同じく季節の挨拶である、お中元やお歳暮のやりとりもやめたという。

「こちらも送り先が大量で管理が大変なうえ、ひとり暮らしであればいただいても食べきれないので、デパートで購入してお送りすることはやめました。その代わり、二晩かけて作る夏みかんのジャムなど、旬のもので保存食を作ったら、季節に関係なくお渡ししています」(谷島さん)

縁には途切れる理由がある

 最近はオンラインで開かれることも増えた同窓会だが、上野さんはこれまで、出席したことがないという。

「同窓会には行きませんが、卒業後も親しくしている友人たちとは年に1度会って、食事をしたりしています。縁が途切れるのには理由がある。数十年、私の人生に入ってこなかった人は、私にとって何者でもないのです」(上野さん)

※女性セブン2020年11月5・12日号