2007年には高齢化率が21%を超え、「超高齢社会」となった日本。配偶者との死別によって、「おひとりさま」となる人も少なくない。さらに、平均寿命が長い女性であれば、さらに「おひとりさま」となる可能性も高まるはずだ。

 おひとりさまになれば、生活費用も少なくなり、様々な部分で節約が可能となる。生命保険の解約に始まり、煩わしい人付き合いまで“何かをやめること”によって、身軽で快適なおひとりさま生活を手に入れることができるのだ。

 しかし一方で、「やめずに続けた方がいいこと」を見つけるのも同じくらい重要だという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが言う。

「友達と食事や映画に行くなど、趣味や人間関係に必要なお金は継続して使うべきです。ジムや習い事なども、惰性ではなく心から楽しんで通っているのであれば、体の健康が保たれるのはもちろん、そこでできた仲間と話すことで気持ちも上向きになることが期待されます」(荻原さん)

 荻原さんは、やり続けたいことが分かれば、生きがいが見つかると続ける。

「北海道に紫竹ガーデンという観光名所としても人気の美しいお花畑があります。ここは60才でご主人を亡くされたお花好きの女性が土地を買い、趣味で植物を植えたことから始まった場所なのです。おひとりさまになった後も生きがいを見つけて快活に働くことで、もうひと花咲かせることができる。それが、人生の味わい深いところだと思います」(荻原さん)

 さまざまなモノや習慣を手放してきたおひとりさまの先達たちも、それぞれに「やめられない」ものがある。東大名誉教授で社会学者の上野千鶴子さんが話す。

「私がやめられないのは、パソコンです。世界中どこに行くときでも持ち歩いているので、仕事やしがらみからは逃れられませんが、その一方で、遠くの人ともつながっていられるし、新聞も画面でどこでも見ることができる。手放したくても手放せません」(上野さん)

 同居していた母親を5年前に見送り、子供は独立したという料理研究家の谷島せい子さんは「新しい服を買うのはやめられない」と笑う。

「私はいまも服はけっこう買ってます。例えば赤いセーターを買って気分が明るくなるんなら、これまでご飯代や酒代に使っていたお金を、服代に回せばいい。この年でエルメスのバーキンを買うのはさすがに“費用対効果”が悪いけれど、セーターくらいはいいんじゃないかって思うんです(笑い)」(谷島さん)

 上野さんは「手放せない」パソコンで精力的に執筆活動を行い、谷島さんのコーディネートはファッションムックでも紹介されている。2人とも、「やめられないこと」で大きな花を咲かせている。

※女性セブン2020年11月5・12日号