牛丼チェーンにおける冬の定番メニューといえば、「牛すき鍋」もしくは「牛鍋」。そこで、2大牛丼チェーンである吉野家と松屋の「鍋メニュー」を比較する。

 吉野家で販売されているのは『牛すき鍋膳』(税別648円、税込み712円)だ。特製のすき焼きだれで作った牛すき鍋に、ごはん、お新香、生玉子がセットになった定食メニューだ。

 牛すき鍋に入っている具は、牛肉、白菜、ニンジン、豆腐、長ネギ、きしめん。薬味的な感覚で白ネギもトッピングされている。公式サイトによると、この一食で“半日分の野菜”が摂れるという。

 この吉野家の『牛すき鍋膳』をマネーポストの庶民派グルメ担当記者Aが実食した。

「すき焼きだれは味も濃いめで食べごたえがあります。お肉との相性も良くて、とてもおいしいです。霜降り牛肉の高級なすき焼きとはまた異なる魅力ですが、比較的安い価格で手軽にすき焼きを楽しめるのは嬉しいです。

 そしてなんといっても具の種類が豊富で、ボリュームがしっかりあるのがいい。食べ進めている間に白菜もクタクタになってきて、甘みが増して来る感覚も楽しめる。個人的には、吉野家の定食系メニューの中では、最高の完成度だと思います」

 今年の吉野家は、黒毛和牛を使った『黒毛和牛すき鍋膳』(税別998円)というメニューも販売。こちらは数量限定商品で、10月25日の時点で完売が近づいていると吉野家が発表するなど、かなり好評のようだ。

牛肉がメインの松屋の『牛鍋膳』

 一方の松屋では『お肉たっぷり牛鍋膳』(税込み690円)が販売されている。こちらも松屋特製のすき焼きだれで牛肉を煮込んだ定食だ。

 牛鍋に入っている具は、牛肉、玉ねぎ、豆腐、青ネギ。そこに、ごはん、みそ汁、小鉢のセットとなっている。小鉢は、「キムチ」「カレー」「チーズ」「とろろ」「大根おろし」「牛皿」の6種類から1つ選ぶシステムだ。こちらも記者Aが実食した。

「具だくさんの吉野家『牛すき鍋膳』に対して、松屋の『牛鍋膳』は野菜がほとんど入っておらず、とにかく牛肉を食べさせるメニュー。具材の旨味が染み出ていないからなのか、すき焼きだれはそこまで濃厚という感じではなく、少々マイルドな印象でした。松屋の“たれ”や“ソース”というと、かなり濃いめの味だというイメージがありますが、『牛鍋膳』についてはそこまで尖った味ではないと思います。

 そして、やはりトッピングの小鉢が気になります。カレーやチーズであれば思い切り“味変”を楽しめます。ちなみに私はあえて「牛皿」を選択しました。やはり“肉”を食べさせる牛鍋なので、せっかくなら肉を増やそうという考えで、いわば“追い肉”。牛皿そのままで食べて、牛鍋との味の違いを楽しむのもいいと思います」

 ただ、みそ汁の扱いにはやや困ってしまったという。

「松屋といえば無料でみそ汁がついてくるのが基本で、『牛鍋膳』にももれなくついてきます。しかし私は普段、鍋料理を食べる時はみそ汁はつけないので、この『牛鍋膳』ではおかずを全部食べきるまでみそ汁が余ってしまいました。ここは意見が分かれるところだと思います」

まったくコンセプトが異なる吉野家と松屋

 吉野家『牛すき鍋膳』と松屋『牛鍋膳』について、チェーン店グルメに詳しいフリーライターの小浦大生氏は、こう分析する。

「野菜がたくさん入っている吉野家『牛すき鍋膳』は、しっかりとすき焼きを再現するメニューであって、牛肉と野菜が同じくらい重要な存在です。当然ながら通常の牛丼とは全く異なるメニューですし、『牛すき鍋膳』というメニュー全体も完成度が高い。

 一方、松屋『牛鍋膳』は、具材は最小限で完全に牛肉がメイン。すき焼きを再現する商品というより、松屋の牛肉をすき焼きだれで楽しむためのメニューと言っていいかもしれません。トッピングについても、基本的には牛肉の味を変えてどう楽しむか、という点にスポットが当たっている印象。ちょっと視点を変えると“通常の牛めしのすき焼きバージョン”という見方もできると思います。

 つまり、吉野家の『牛すき鍋膳』と松屋の『牛鍋膳』はすき焼きだれを使用しているという共通点はあるものの、コンセプトは全く違うもの。完成度の高さに向かう吉野家と、味変などを含めて変化を求める松屋、そういったカラーも出ているような気がします。

 さらに11月4日からはすき家も『牛すき鍋定食』(税込み780円)を販売開始となりました。こちらは多くの野菜を使った“吉野家タイプ”の牛すき鍋です」

 似たように見えて、かなり方向性が異なる吉野家『牛すき鍋膳』と松屋『牛鍋膳』。その違いに注目して食べ比べつつ、体を温めるのも良さそうだ。