人生100年時代の「年金」「相続」「終活」。男性誌では夫婦のどちらかひとりになった時に備える特集が組まれ、関心を集めている。しかし、よりシビアに捉えていたのは長生きするであろう女性のようだ。妻たちが読んでいる「女性誌」の実用特集には、「夫の死後」に備える赤裸々な本音と“具体的対策”が記されていた。

 夫の突然死のリスクに妻は敏感だ。「レタスクラブ」(2019年4月号)はこんなヒヤリとする記事を掲載した。

〈ある朝、隣の部屋で夫が静かに死んでいました〉〈あなたにもあした起こるかもしれない 働き盛りの夫が突然亡くなったら〉

 夫を突然亡くした妻たちの実体験から、いざというときの心づもりと備えを学んでほしいという特集だ。

 女性たちが関心を寄せるのは「夫の死」ばかりではない。夫が定年まで勤めあげてから熟年離婚した妻に、夫の厚生年金の一部を分割する「年金分割」を教える記事も目立つ。

〈離婚してももらえる! 「年金分割」受給額シミュレーション〉(「女性自身」2020年4月28日号)は、〈“夫が払った厚生年金”の半分は妻のもの!〉と、年金分割で妻がもらう年金額を増やす方法を伝授する。

 夫の平均月収と婚姻期間などから妻がもらえる年金を詳細にシミュレーションするとともに、離婚前に夫に内緒で年金分割の情報を集めることを勧める内容だ。

 こうした女性誌の提案が現実となった例もある。都内在住の62歳男性が定年間際だった2年ほど前、妻の不在時に自宅リビングにある棚の引き出しを開けると、「情報通知書」と書かれた書類が見つかった。

「身に覚えがないので調べてみると、離婚後の年金分割について年金事務所から情報提供を受けた書類でした。妻が離婚を考えているとは思いもよらず愕然として、独立した娘に相談したら、『自分で考えたら』と冷たい返事でした。後から知りましたが、妻を大切にしなかった私に愛想をつかし、娘が妻に定年後の離婚を勧めていたそうです。

 私は定年を迎えましたが、妻からはまだ離婚を切り出されていません。考え直してくれたのか、分割額が少ないから躊躇したのかもわからず、目の前にいる妻に本音を聞くこともできない。毎日胃が縮む思いです」

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が解説する。

「夫のDVや横暴さに嫌気がさして、熟年離婚を希望する女性が増えています。ただし年金分割で収入が2分されると、夫婦共倒れになる可能性が高い。それでも熟年離婚したいという女性には、何年もの長期計画で貯金を作り、独り暮らしの住まいのアテができてから踏み切ることを提案しています」

※週刊ポスト2020年11月20日号