現在パチスロ業界は、出玉性能が抑えられた「6号機」の時代に突入している。新台として発表されるのはすべて6号機であり、出玉性能が高い「5号機」は、それぞれの機種によって決まっている“設置期限”までしかホールに設置することができず、遅くとも2021年内にすべての5号機が撤去される予定だ。

 そんななか、5号機の中でも特に出玉爆発力が高く、一撃で数千枚から1万枚程度を獲得することも可能とされる『ミリオンゴッド〜神々の凱旋』がこの11月で設置期限を迎えることとなる。パチスロ業界に詳しいフリーライターの藤井夏樹氏が説明する。

「2018年2月、ギャンブル依存症対策などの目的で、遊技機に関する規則が改正され、射幸性の高い『旧規則機』と呼ばれるパチンコ・パチスロ機の撤去が決まりました。旧規則機の撤去は順次行われているのですが、特に射幸性が高いパチスロ機として最後までホールに残っていたのが『ミリオンゴッド〜神々の凱旋』(以下、凱旋)なんですよ。凱旋の設置期限は都道府県によって異なりますが、大阪府以外では11月中にホールから撤去される予定です」

 パチンコホール情報サイト「P-WORLD」のパチスロ設置台数ランキングで、凱旋は10月まで不動の1位となっていたが、11月に入ってからランキングの下落傾向が続いている。

「多くの5号機が撤去されていく中、出玉爆発力を求めるユーザーにとってはまさに“最後の砦”といった存在だったわけです。凱旋の撤去による影響は少なくないでしょう」(藤井氏)

「爆発力のないパチスロには魅力を感じない」

 凱旋を好んで打っていたというユーザーは、この状況についてどう感じているのだろうか。ユーサーの声に耳を傾けてみた。

 都内に住む会社員・Aさん(40代/男性)はここ数カ月、凱旋しか打っていなかったという。

「自分にとってパチスロの魅力は、やはり出玉の爆発力。何千枚も一気に獲得できるような機種がとにかく好きなんです。先月くらいからは、打ち納めだと思って、凱旋を打つためにパチンコ店に通っています。正直まったく勝てていなくて、財布の中身は大変なんですが……」

 Aさんは、凱旋が撤去された後は、どうするのだろうか。

「凱旋がなくなると、爆発力のある機種は皆無になってしまう。そんなパチスロにはあまり魅力は感じません。凱旋が打てないなら、パチスロそのものをやめてしまうと思います。少なくとも、当分は打たないでしょうね。ここ最近、凱旋で負けた額を取り戻したいという気持ちはありますが、そこは競馬かボートレースを頑張ろうと思います(笑)」(Aさん)

 神奈川県在住、自営業・Bさん(30代/男性)は、むしろ凱旋撤去後に期待している。

「凱旋は本当に好きでよく打っていました。1日に10万円以上勝ったことも何回かありますが、トータルではボロ負け。いつも“凱旋はリスクが高いからあまり打たないようにしよう”なんて思いつつ、どうしても打ってしまう機種だったんです。だから、凱旋が撤去されるのは寂しい反面、助かる部分もある。凱旋がホールにないなら、打って大負けすることもないですから。

 パチスロ自体はすごく好きで凱旋以外の機種も打ちたいので、今後も通い続ける予定です。凱旋がなくなる代わりに、どんな機種がホールに導入されるかも楽しみです。今後は、様々な新機種を打ってみたいです」

凱旋撤去後のパチスロ業界はどうなるのか

 凱旋とともにパチスロをやめるというユーザーもいれば、凱旋以外の機種に期待するというユーザーもいる。ユーザーはそれぞれの思いに任せて行動すればいいが、主力機種を失うことになるホールにとっては死活問題だ。前出・藤井氏はこう話す。

「パチスロにおいて、凱旋に匹敵するほど集客力のある機種は、現時点ではまったくない。いわば、もっとも人気がある機種を失うわけですから、多くのホールが不安を抱いている状況です。

 そして悩ましいのが、凱旋が撤去された後に、どんな機種を入れていくかということ。現状では6号機があまり支持されておらず、6号機の設置を増やしたくないというホールも多い。そうなると、設置期限までまだ時間がある5号機を導入するという選択をするホールも少なくないでしょう。

 まだ1年くらいは設置できる5号機もあるので、そういった機種を再導入するケースもあると思います。しかし一方で、ホールにおける5号機の設置割合を減らしていかなくてはならないという目標もあり、5号機ばかりに頼ってはいられないのも事実。いずれにしろ、本格的に6号機をメインに設置しなくてはならない時期はもう目の前にやってきているのです」

 ホール側も発想の転換を強いられることとなりそうだ。

「爆発力の高い機種はもう無理なので、それを求めるファンを切り捨てざるを得ない。そうし中で、ジャグラーシリーズのように射幸性が低くて、ゲーム性がシンプルな機種を導入し、高齢者層や初心者を取り込もうと画策するホールも出てくるでしょう。あるいは、人気の低い6号機を回避して、パチスロのシマをパチンコのシマに変えるというホールも出てくると思います。出玉爆発力の高い機種に依存する考え方を180度転換して、新たなユーザー層へのアピールを狙わなければならないということです。

 その一方で凱旋の撤去によってパチスロ人気が低迷すれば、その危機を脱するべく、業界全体が6号機の出玉規制を緩和する方向に向かっていく可能性もあります。意外とそこに期待している関係者も少なくないと思います」(藤井氏)

 新型コロナウイルスの影響も含めて、パチスロ業界が大きく変化せざるを得ない状況となっている。凱旋の撤去は大きなターニングポイントとなりうる出来事なのだ。