離れている時間があるからこそ関係が保てていた夫婦も、コロナ禍でともに過ごす時間が増え、“離婚”が頭をよぎるようになった人が増えているという。しかし、一時の感情で早まらないでほしい。離婚を優位に成立させるには、綿密な下準備が必要だ。必ずしも離婚をしなくても、何から手をつけるべきか把握して準備さえしておけば、いざというときの“切り札”や気持ちの余裕にもなるはずだ。

離婚には法律上の原因と証拠が必要

 離婚は自分ひとりではできない。当然のことながら、相手の同意があってこそ成り立つ。

「離婚の第一歩は夫婦の話し合いからです。お互い納得したうえで、役所に離婚届を提出すると離婚が成立します(協議離婚)。しかし、相手が合意してくれない、話し合いすらままならないなら、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。そこでも合意に至らなければ、審判や訴訟となります。お子さんがいる場合は親権を、熟年離婚の場合は資産を巡り、調停や審判になるケースが増えています」

 とは、弁護士の中里妃沙子さんだ(「」内以下同)。協議なら、どんな理由でも双方が合意すれば離婚できるが、調停や審判、訴訟は「法律上の離婚原因」にのっとった理由が必要になる。例えば、DVや長期にわたる別居などは、「その他婚姻を継続し難い重要な事由」として離婚を請求できる。とはいえ、離婚原因を裏付ける証拠がなければ、離婚は認められにくい。証拠を示せない場合や法律上の離婚原因に該当しない「性格の不一致」では、離婚は認められにくいという。しかし、離婚理由で最も多いのが、この「性格の不一致」だ。

「とにかく嫌い。こんな理由で離婚できますか、という相談者は多いんです。こういったケースでは、長期間別居をすることで認められることもありますが、別居にも正当な理由が必要。というのも、夫婦には同居義務があるからです。そのため別居の際も、“話し合いを重ね、修復を試みたけれどできなかった”“夫婦がいがみ合うと子供に悪影響を与えるので、やむを得ず実家に帰る”などの手紙や日記を証拠として残しておくなど、準備が必要です」

財産分与に備え資産を洗い出す

 離婚原因が明確で証拠もそろえられそうなら、次にすべきは、資産の洗い出しだ。別居中の生活費は夫からの婚姻費用でまかなえても、離婚後生活していけるのか。いくらもらえるのかを含めてあらかじめ試算しておくことが必要だ。専業主婦や、夫の収入にい損じている部分が大きい女性が、離婚を望む場合について、総合探偵社MR代表・岡田真弓さんはこう話す。

「預金通帳や給与明細書、不動産の証書、金融機関からの封書も、画像データに残しておくと、夫の財産隠しを防げます」

 注意すべきは、これらの準備は夫に悟られないよう、水面下で行うこと。

「離婚を切り出す前の準備には2か月から半年はかかると思ってください。その間はいつも通りにふるまうことが大切。夫に計画を勘づかれたら、証拠を隠されたり、夫がDVをしている場合、DVが悪化する恐れもあるからです」(岡田さん)

 大切なのは、「離婚原因の確定」「証拠の確保」「資産の把握」の3つだが、子供がいて親権を持ちたい場合などは、ほかにもするべきことがある。フローチャートを参考に、脳内で離婚の道筋を描いてみよう。

取材・文/桜田容子

※女性セブン2020年11月26日号