ある日突然、夫にもしものことがあったら、あなたは葬式や相続、役所の手続きなど、やらなければならないことに冷静に対処できるだろうか。コロナ禍で家にいることが増えた今こそ、“夫にしかできない生前整理”をしてもらうチャンス。「トラブルだらけで、悲しむ暇もなかった」ということにならないために、妻が知っておくべきこととは──。

 突然夫に先立たれた時、一番よく聞くのが「亡くなった夫の銀行口座が凍結されお金が引き出せなくなった」という話。だが、これは実は昔の話。2019年7月にスタートした「預貯金の仮払い制度」により、遺産分割協議が終わる前でも、150万円までなら故人の銀行口座からお金を引き出せるようになったおかげで、葬儀代や当面の生活費に困る家庭は少なくなった。

 しかし、当然ながら通帳や印鑑、暗証番号、パスワードなどがなければ何もできないため、夫が認知症などで判断能力を失う前に聞き出しておく必要がある。

成年後見人には家族を指名

 もし、夫がなんらかの理由で判断能力を失った場合、どうなるのか。実は、本人に代わって家族や第三者が不動産や預貯金などの財産管理、介護サービス、施設への入所契約などを行う「成年後見人制度」というものがある。

 だが、この制度は要注意。赤の他人に通帳などを預け、家族が一切使えなくなる場合があるのだ。本人の意思で家族などを「任意後見人」に選ぶことができるが、判断能力を失う前に任意後見人を指名しておかないと、家庭裁判所が定めた弁護士や司法書士など第三者が選任されて「法定後見人」になる。それのどこに問題があるのか。相続実務士の曽根恵子さんが話す。

「本人の判断能力が低下すると、成年後見人しか財産を管理できません。法定後見人には月々1万〜6万円ほどの報酬を支払わなければならないうえ、第三者に預金を管理されて、家族の生活費すら口座から下ろせなくなります。そうならないように、夫が元気なうちに、家族の誰かを『任意後見人』に指名する手続きをしておいた方がいい」

 厚生労働省の最新のデータでは、女性の平均寿命は男性より7年も長い。いつか夫に先立たれたときに自分が困らないように、あらかじめ夫に絶対にやっておいてもらうべきこととは何か。いま、夫婦で考えてみてほしい。

※女性セブン2020年11月26日号