『あなたに降る夢』というニコラス・ケイジ主演の映画がある。ケイジ扮する警官が宝くじで大当たりしたのを機に強欲な妻と価値観の違いが浮き彫りとなり、人生が転換してしまう。原題は“It Could Happen to You”。日本語で「あなたにも起こる」。アメリカでは「自分にも起こる」と信じ、宝くじを定期的に購入する人や結婚記念日に配偶者に贈る人が多い。

 アメリカの宝くじは州ごとに導入されており、全州で同種類のくじが購入できるとは限らない。その中で、40州以上で販売されている人気ツートップが「メガミリオンズ」と「パワーボール」だ。共に非営利団体が運営し、1口2ドルで、18歳以上ならガソリンスタンドやコンビニにある専用自販機で購入できる。

 メガミリオンズの遊び方は至ってシンプル、1から70までの数字から5つの数字を選び、さらに1から25までで1つ選ぶ。6つ全てが一致したらジャックポット(大当たり)。パワーボールは1から69までで5つ、1から26までで1つ選び、6つ全てが当たったらジャックポットとなる。当せん金は一致した数字の数などで数段階に分かれる。

 当せん金の史上最高額は、2016年1月、パワーボールで15億8600万ドル(約1672億円)。当せん者は3組いた。史上2番目は2018年のメガミリオンズで、当せん金は15億3700万ドル(約1589億円)。当せん者は匿名を貫いた。

 史上3番目に高額な当せん金を手にしたのがマニュエル・フランコ氏で、2019年当時24歳。その金額は7億6840万ドル(約810億円)。当せんを知るや仕事を辞め、「当せん金は世界をより良くすることに使いたい」と記者会見で語った。

 史上4番目は2017年8月のパワーボールで7億5870万ドル(約800億円)。当せんしたメービス・ワンジックさんは当せんを知ってすぐに32年間勤めていた病院に電話し、「もう職場には戻らない」と告げた。そして税引き前4億8050万ドル(約507億円)を一括で受け取った。

 匿名でいたほうが得策では、と思うかもしれない。しかし、抽選の透明性をアピールするため氏名公表が受け取りの必須条件となっている州もあるのだ。

 受け取り方法は30年にわたる年金か一括を選ぶ。一括の場合は金額が大幅に減るが、ほとんどの当せん者が目減りしてもこちらを好む。その理由は、「明日は世の中がどうなっているか分からないから」。ただし、ここからさらに連邦税や州税なども引かれる。

 当せん者たちは大金を何に使うのか? 過去にはテレビ番組制作やウォーターパーク建設をした人もいたが、多くの人がまず豪邸を買う。ケーブルテレビ局HGTVの番組『My Lottery Dream Home』は、当せん者が夢の家探しをするという内容で、視聴者も夢を見ている気分に浸れることで人気を呼んでいる。

 ちなみに外国人でも、アメリカに行けば購入でき、当たれば当せん金を受け取れる。アメリカ旅行に行った際には夢を託して購入してみてはどうだろう。

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号