アメリカでは宝くじの当せん金が高額なために、波乱の人生を送る当せん者が後を絶たない。宝くじ当せんで人生が暗転した事例をいくつか紹介しよう。

 ウィリアム・ポスト3世は、1988年にペンシルベニア州で1620万ドル(約17億円)を獲得し、銀行口座の残金が2ドル46セントしかなかった生活から一転、レストランや飛行機購入といった散財を始めた。さらに大家の女性に財産の3分の1を騙し取られ、実の弟が雇った暗殺者に命を狙われた。事業への投資も失敗し、当せん3か月後には自己破産を申請。

「皆、大金が転がり込んできた時の夢ばかり語るが、その後に始まる悪夢について理解していない。私は破産してからの方がずっと幸せだ」と1993年にワシントンポスト紙で振り返っている。

 1996年、イリノイ州の宝くじで2000万ドル(約21億円)を手にしたジェフリー・ダンピエ氏は愛人に殺害された。愛人は共犯者とともに現金を強奪するだけのつもりだった。しかし、激昂したジェフリー氏に「私を撃て、もしくは私がお前を撃つ」と二者択一を迫られた愛人は前者を選び、ジェフリー氏は命を落とした。

 2012年、100万ドル(約1億円)を当てたウルージ・カーン氏は、当せんが公式に発表される前に急死してしまった。検視では自然死と判断されたが、2度目の検視で毒殺の可能性が浮かび上がった。警察の捜査で、妻が用意したカレーを食べた直後の死だったことが分かったが、事件は迷宮入りに。

 これらの悲劇を招かないために、2016年、フォーブス誌が当せん者に対してアドバイスする記事を掲載した。

 まず、州法で氏名公表が義務付けられていない場合は匿名を通すこと。次に税務の専門家に受け取り方法について相談すること。さらに仕事を辞めるなど生活スタイルを急に変えないこと。最後は、買い物を始める前に全ての借金を返却し終わることだった。

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号