コロナ収束が見えない中、大多数の日本企業はかつてない大幅な業績悪化に見舞われているが、このまま沈んだままなのか。

 鍵を握るのは、来年に延期された東京五輪だ。『経済界』編集局長の関慎夫氏が指摘する。

「今年打撃を受けた企業の多くに共通するのが観光客減少に伴う減益です。東京五輪次第で、運輸・旅行・宿泊・飲食業界に回復の兆しが見られるかもしれません。たとえ無観客での開催でも選手や関係者、メディアが世界各国から来日するので、ある程度の経済効果は期待できるでしょう」

 コロナ禍の苦境で今年の冬のボーナス全額カットが発表されているJTBは、五輪の観戦チケット販売を担っている。もし有観客での五輪開催が実現すれば、旱天の慈雨となることは間違いない。

 また、航空業界に比べれば、鉄道のほうが早期に回復しやすいとの声もある。真壁昭夫・法政大学大学院教授が語る。

「日常生活に必須な交通機関なので、全く使われないということはない。徐々に乗客が戻ってきているのでたとえ運賃を値上げしたとしても、乗らないといけない一定数がいる以上、乗客離れのリスクは低い。その点が、鉄道の強みです」

 また三菱自動車は冬のボーナスの減額を発表したが、コロナ禍が続いた場合でも、自動車業界の先行きはそう暗くはないと前出・関氏は指摘する。

「三菱自動車の減額は東南アジアでの売れ行きが芳しくなかったことが原因ですが、業界全体に共通することではない。トヨタ自動車も中国など海外の業績が回復してきていますし、むしろコロナで『マイカーのほうが安全』という意識が人々の間に生まれたことから、自家用車のニーズは来年さらに増えるかもしれない」

 第一生命経済研究所の永濱利廣氏もこう話す。

「自動車業界に関しては比較的早めにボーナス水準が戻るかもしれません。逆にコロナ前からすでに厳しい状況が続いていた百貨店は正月商戦も厳しそうですし、なかなか立ち直るのが難しいかもしれない」

 今年は厳冬でも来年以降、活路を見いだせる可能性は残されている。

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号