DVDレンタルやゲームの売買などを手がける「ゲオ」や、衣料・雑貨をリユース(中古品販売・買取)する「セカンドストリート」を展開するゲオホールディングス。コロナ禍の巣ごもり需要や節約志向の高まりで、好調を維持している。勝ち残りの秘策を遠藤結蔵社長(42)に訊いた。

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──このシリーズではまず、平成元年(1989年)当時を伺っています。

遠藤:父(故・遠藤結城氏)が脱サラし、レンタルビデオショップを開業したのが1986年のことでした。1989年当時、私は11歳でしたが、事業はまだ軌道に乗っていたとは言えなかった。父がサラリーマンに戻った時期もあったりして、不安定な生活が続いていましたね。

 転機は私が大学3年生になった1999年でした。この年、藤田商店から米国のレンタルビデオチェーンの日本法人・日本ブロックバスターを買収し、新たに38店舗を加えたんです。

──藤田商店は日本マクドナルドを創業した藤田田氏が経営していた。

遠藤:そのご縁から、「ゲオに入社する前に、藤田さんのところで修業してこい」と父に言われ、2000年、大学卒業後に日本マクドナルドに入社させて頂きました。

 わずか7か月の短い在籍期間でしたが、当時のマクドナルドは「65円バーガー」を武器に攻勢をかけていた頃。いい商品を安く提供する工夫や仕組みを学べたのは貴重な経験でした。

節約志向で事業に弾み

──2000年11月にゲオ(現・ゲオホールディングス)に入社。2004年6月に遠藤結城氏が不慮の事故で突然亡くなってしまったことで、取締役に就任されます。その後、東日本大震災があった2011年に社長に就いた。

遠藤:震災によって消費が落ち込んだのは痛手でしたが、節約志向の高まりで2008年から展開していたリユースショップ「セカンドストリート」の事業に弾みがつきました。

 以降、積極的にセカンドストリートの出店を拡大しています。社長就任当時、セカンドストリートは全国300店舗ほどでしたが、現在は約700店舗。ゲオショップの約1100店舗に迫る勢いです。

──リユースの分野にはコメ兵やトレジャーファクトリーなど競合企業も多いですが、どう差別化を?

遠藤:セカンドストリートの強みは、売り上げの7割ほどを占める衣料・服飾雑貨が他社より充実している点です。とくに販売価格2000〜3000円の古着商品の質と量には自信があります。

 これはファストファッションの衣料品とほぼ同じ価格帯ですが、その値段でより価値のあるものを提供していく。

 今後の課題は、古着販売のシェアを上げながら、他ジャンルのリユース商材にも広がりを持たせていくことですね。

──具体的には?

遠藤:重点を置いているのは、家電製品や家具、スポーツ・アウトドア用品、楽器、玩具などです。

 私は社内で“いつでもどこでも誰でも何でも”と話していますが、できればあらゆるジャンルでレンタル、リユースができることが理想。いかに未着手の分野を減らしていけるかがカギと思っています。

──コロナ禍の影響は?

遠藤:ゲオショップは巣ごもり需要でゲーム販売を中心に好調でしたが、セカンドストリートは、外出自粛などの影響で、買い取りも販売も総じて低調でした。今後の課題は売買のオンライン化です。店頭商品のネット販売が伸びていますので、オンライン化への投資を増やしていきたい。

メルカリには「安心」で対抗

──最近はメルカリなどを介して、個人が直接中古品の売買をすることが日常風景になっている。これは脅威では?

遠藤:むしろ中古品のマーケット拡大はウエルカムです。中古品に抵抗のない消費者が増えれば、かえって我々の持つ“強み”が生きてくる。

 たとえば店頭で実際に商品の状態が見たいとか、本物のブランド品なのか不安だとか、パソコンやスマホのデータは確実に消去されているのかなど、そういったニーズに応えられます。我々が介在することで生まれる価値があるわけです。

 加えて個人売買アプリの便利さに対抗するため、今後は、手持ちの商品を来店して売っていただくだけでなく、お客様のところへ出張して買い取るサービスも拡充していかねばならないと考えています。

 そう考えると、現状の直営1600店程度ではまだ足りない。ゲオショップとセカンドストリート合わせて2000店以上の店舗数が必要になってくると考えています。

 買取市場が活発な都市部だけでなく、駐車場を備えたロードサイド立地、ショッピングモールを中心とした商業集積地にさらなる展開をしていきたいですね。

──今後、新たな事業展開の可能性は?

遠藤:シェアリング事業(品物を共有したり個人間で貸し借りする際の仲介を行なうサービス)には多くの可能性があると見ています。たとえばルイ・ヴィトンの鞄などのブランド商品を、パーティや披露宴などのハレの日に一時的に使いたいという方々はかなりいらっしゃいます。中古品だけでなく新品をお貸しすることも含め、挑戦していきたい分野ですね。

 どれだけお客様のご要望に応えられるかを、今後も追求していきたいと思っています。

【プロフィール】
遠藤結蔵(えんどう・ゆうぞう)/1978年、愛知県生まれ。2000年、早稲田大学政治経済学部卒業後、日本マクドナルド入社。同年11月にゲオ入社。2004年、取締役社長室副室長を経て、2011年11月より現職。

【聞き手】
河野圭祐(かわの・けいすけ)/1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。

●撮影/山崎力夫

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号