「Go Toイート」キャンペーン開始時は、居酒屋チェーン・鳥貴族で低額商品を注文して差額ポイントを受け取る「トリキの錬金術」や、回転寿司チェーンで予約・飲食を繰り返すことで低価格での食事を何度も楽しむ「無限くら寿司」などの“裏技”が話題になった。その後、キャンペーン内容が変更されたことにくわえ、主要予約サイトでポイント付与の対象となる新規予約が終了して、それらの活用もできなくなったが、それとは別の方法で「Go Toイート」を使ってお金儲けしている人がいるという。フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた20代男性の言う「錬金術」とは、一体どんなものなのか。

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「思いついたときは、俺、天才なんじゃないかって思いましたよ」──都内在住の人材派遣会社勤務、坂口昇さん(仮名・29歳)は、“Go Toイート錬金術”に成功したと話す。

 Go Toイートは、新型コロナウイルス感染拡大防止や緊急事態宣言などで売り上げが落ち込んでいる飲食店を盛り上げるために導入された政策である。飲食店予約サイトを利用した1回の予約・食事で最大1万ポイントが付与され、次回の飲食代に1ポイント=1円で充てることが可能だ。

 多くの人が利用したこともあり、あらかじめ定められた予算があっという間に消化され、主な飲食店予約サイトでは、続々とポイント付与の新規予約を終了している。

「ナンパで有名なバーへ足を運んだり、昔に出会った人に声をかけました」(坂口さん、以下同)

 坂口さんによると、出会いを求めている男女を片っ端から集め、合コンの誘いを何度もしてきたという。人数は自分を含め10名まで。理由は、Go Toイートで付与されるポイントの対象内に収めるためだった。彼の言う錬金術とは、そうして得られたポイントを、幹事である坂口さんが総取りするというものだ。

 合コン参加者を募る時には、あえて友人には声をかけなかったという坂口さん。理由は、「『ポイントどうするの?』と突っ込まれたくなかった」から。

「金、土、日を中心に合コンを開催しました。全部で6回やったので、6万ポイントほどゲットしたことになります」

苦し紛れに友人を利用して…

 得たポイントは次回の合コンの支払い時に使い、参加者から集めた現金は自分の財布に入れたそうだ。最初はそれで上手くいっていたそうだが、徐々に雲行きが怪しくなっていったと坂口さんは振り返る。

「そもそも合コンに誘える人が減っていきました。マッチングアプリで40代の女性に声をかけたこともありましたよ。女性はどうにかなるんですが、男が集まらなくて……。そこで声を掛けたのが僕の友人でした。これが失敗の原因でしたね」

 坂口さんの友人は合コン参加を快諾してくれたものの、Go Toイートのポイントの存在にすぐに気づいたそうだ。そこでポイントの割り勘を提案されたそうだが、坂口さんは“幹事だから……”とやんわり拒否。友人も渋々納得してくれたはず、と思っていたが、違ったようだった。

「合コンには参加してくれましたが、それ以来、僕からの誘いを断るようになりました。何度誘っても『用事がある』といわれてしまって……。避けられていることに気づいたんです」

 Go Toイートのポイントは得ることができたものの、友人を無くしてしまったと落ち込む坂口さん。そんな大事になるまで、“ポイントの代償”に気づくことはなかったようだ。

 主だった飲食店予約サイトでは「ポイント付与終了」のアナウンスが出されるなか、坂口さんが繰り返してきた“錬金術”も終わりが近づいてきている。

 もちろん、坂口さんの行動はルールに則って行っているので不正ではない。しかし、それを周囲が知ったら不快な思いをするのは、初めから分かっていたはずのことではある。