Google検索、SNS、YouTube――。インターネットが当たり前で欠かせない存在となった今、生まれてからずっとネットがある環境で育ったデジタル・ネイティブの若者にとっては、“ない生活”を想像できない人も多いだろう。では逆に、ネットがなかった時代、“ネット登場前夜”に幼少期や学生時代を過ごした世代は、当時どのように過ごしていたのだろうか。

「僕の世代は中高校生あたりからネットが時間制限なしできるようになった。もう楽しくて仕方がなかったです」

 そう語るのは、電機メーカーに勤務する30代の男性会社員・Aさんだ。ネット普及時に青春時代を過ごした世代でもある。

 ネット普及の大きなターンイングポイントとなったのは、Windows95が発売された1995年頃だが、それでも1996年の普及率は3.3%。2000年頃になると、それまでの従量課金制のダイヤルアップ回線から定額制サービスADSLの登場で急速に普及していくことになる。ゲームが好きなAさんは、ネットがなかった小中学校時代の遊び事情を明かす。

「家庭用ゲームばかりしていました。攻略情報は、攻略本や雑誌、あとはゲームをやり込んだ人に聞くという感じでした」(Aさん)

 今では攻略サイトや動画を見れば、簡単に情報が手に入り、しかもゲーム実況動画を見ればゲームをした気になれる時代だ。だがAさんによると、ネットがない時代ならではの良さもあったという。

「情報がないからこそ何度もやりこんだし、攻略本に自分で得た情報を付け足していました。楽しかったですよ。それからゲームがうまい人や裏技を知っている人がスターでしたね。ちょっと大人しい子でも、ゲームができると『おまえスゲーな』みたいな感じになりますから」(Aさん)

 ネットが普及して以降は、直接人と対面することなく物事が完結するようになった。コロナ禍でそのメリットが注目を集めているが、平時ではコミュニケーション不足の要因にもなっている。IT企業に勤務する40代の女性会社員・Bさんはこう回想する。

「ネットがない時代は、なんだかんだ、人と会っていましたね。友人とゲーセンに行ったり、ファミレスで朝まで話しこんでいたり……。よく親の目を盗んで家の電話で長電話もしました」(Bさん)

 デジタルシフトが進むなか、モノへの執着も薄れつつあるように思えるが、かつては一度買ったものは、大切に何度も使うのが当たり前だった。

「ラジオやCDから曲を録音したテープを編集して、テープのラベルも手作り。オリジナルのカセットを作って友だちに配ったこともありました。雑誌は隅から隅まで読むし、漫画も繰り返し読みました。今ネットで漫画を読むようになると、あんまり大切に読む感じはなくなりましたね……。それが嫌で、今でも好きな漫画は紙で買っています。使い分けですね」(Bさん)

 Aさん、Bさんの2人とも、今の時代の利便性を体験してしまうと「もう昔には戻れない」と話す。それでも、ネットがなかった時代ならではの幼少期の体験は、忘れがたいようだった。