キャンプのオンシーズンと言えば、春・夏・秋の3シーズン。冬にキャンプなんてまるで我慢大会……と敬遠する人も少なくないだろうが、近年は冬のキャンプも人気になっているようだ。

 寒さが厳しい冬に、なぜわざわざキャンプを楽しむのだろうか。3年前に本格的にキャンプを始め、毎年、妻と子どもを連れて冬キャンプを楽しむという男性会社員のAさん(40代/東京都在住)に、冬キャンプの魅力について聞いた。

キャンプ場が空いていて快適!虫がいない!

 Aさんは、冬キャンプの大きな魅力として、「キャンプ場が空いていること」と「虫がいないこと」という2点を挙げる。

 子どもが4歳になる頃から、年に数回、同じ幼稚園の仲間と家族ぐるみでキャンプを続けてきたというAさん。自然の中で子どもと遊んでいると心底リフレッシュでき、すっかりキャンプの虜になったものの、キャンプ場の混雑には悩まされてきたと話す。

「首都圏から数時間で行ける距離にある、炊事場や電源サイトなど設備の整ったキャンプ場はどこも人気で、半年前には予約をしないと埋まってしまう。やっと予約できたキャンプ場も、行けば混雑しているのが当たり前。炊事場も混んでいるので、食事の支度や片付けも順番待ちですし、乱立するテントの中で子どもが迷子になったことも。途中で買い出しが必要になった時、駐車場が混んでいて車が出せなくなったこともありました」(Aさん・以下同)

 冬のキャンプなら、他の3シーズンには人気のキャンプ場でも簡単に予約できるうえ、現地に行っても空いているという。

「広いキャンプ場を少ない家族だけで専有できるのは贅沢な気持ちになりますし、家族だけの空間を外で楽しめる場は貴重です。普段、家事は妻に任せっきりの我が家ですが、キャンプでは子どもたちも率先してテントの設営や食事の支度などをやりたがります。

 春〜秋のキャンプでは炊事場も混んでいるので、子どもにお皿洗いなどの片付けをゆっくりやらせる訳にも行かず、私や妻がサッと済ませてしまいがちですが、冬は炊事場も空いているので、子どもたちと一緒に支度をする。会話も増えますし、家族の距離も縮まりますよ」

 また「冬は虫が少ない」ことも大きな魅力だと語る。

「夏は防虫ウェアを着て、蚊取り線香を焚いて……と万全の対策で臨んでも、いつの間にか蚊に刺されてしまうことが多いんです。テントは設営の際に虫が入らないように注意していますが、それでも出入りする際に紛れ込んでしまうことがあります。キャンプ場には蚊だけでなく、アブやブヨ、蜂などの危険な虫もいますし、冬はそういった虫を気にしなくて良いのは嬉しいです。花粉症も気に悩まされる心配もありません」

防寒対策に不可欠な装備は?

 そうはいっても、冬のキャンプ場が空いているのには理由がある。猛烈な寒さと戦わなければならないからだ。

 Aさん自身、初めての冬キャンプで冬用の寝具を持っていかなかった時を、「凍死するかと思いました」と苦笑しながら振り返る。

「春夏用のマットを敷いてシュラフで寝ようとしたのですが、地面から背中に冷えが伝わって寝付けませんでした。加えて、テント内を温めても、外気との温度差でマットが湿ると底冷えしてしまいます」

 試行錯誤の末、Aさんは、「テントの下にシートを敷くだけでなく、冬用の厚手のマット、電気毛布を敷いてその上にシュラフを置く方法に落ち着きました。これで寝る時の寒さも気にせずに済むようになりました」という。

 こうした防寒対策の装備は、冬キャンプでは不可欠。冬用のシュラフやマット以外にどんな装備があったほうがよいのか、Aさんが教えてくれた。

「なんといっても、欠かせないのはポータブル電源です。ポータブル電源があると、それに電気毛布やカーペットを繋ぐことができます。キャンプで一番寒いのはやはり夜。寒くて眠れないという事態を避けるためには必須の備品です」

 ポータブル電源は、災害時にもお湯を沸かしたり、スマートフォンを充電したりと、なにかと重宝する。

 もちろん、終日寒さに晒されることになるため、レッグウォーマー、マフラー、膝掛け、貼るカイロなど、冬用の衣類や小物もしっかり準備しておきたい。「毛布や湯たんぽなども多めに持っていくに越したことはありません」とAさんは言う。

「冬用の肌着は多めに持っていくようにして、寒い時は中に重ね着することもあります。キャンプ場で大抵のものは調達できますが、服だけは難しいので……」とのこと。また意外に重宝するのが雑巾。テント内が結露した時にサッと拭けて便利だそうだ。

【追記:暖を取るために、石油ストーブを使う人もいるが、テント内で使用すると一酸化炭素中毒や火災のリスクがある。十分な換気をしているつもりでも、絶対に安全とは言い切れないので、くれぐれも注意してほしい】

冬キャンプならではの3つの醍醐味

 このように防寒対策をしっかりすれば、混雑に悩まされることのない冬キャンプ。その醍醐味は、他のシーズンでは味わえないものがある。

【冬キャンプの醍醐味1】澄んだ星空を眺める

 Aさんは、「冬は空が綺麗で空気が澄んでいることも魅力」だと語る。冬は夜の星が一段と綺麗に見える。家族で夜、軽食をつまみながら星空を眺めて団欒するのが至福の一時だと言う。

「冬の夜は長く、自宅にいるとゲームやテレビに頼りがちです。でも、非日常の空間なら少し寒いのも楽しめる。いろいろな雑事から離れて、何もせずに子どもと一緒に澄んだ冬の星空を眺めるなんて、かけがえのない経験だと思います」

【冬キャンプの醍醐味2】雪遊び

 Aさんは、冬キャンプで子どもたちと雪遊びをするのも楽しみの1つだという。

「わざわざスキーやスノボをするとなると準備が大変ですが、そりくらいなら車に積んでいけます。雪だるまや雪上かまくらを作るのも楽しいですよ」

【冬キャンプの醍醐味3】温かい食事

「我が家のキャンプでは鍋をすることが多いのですが、普通のカップラーメンでも、冬のキャンプ場ではご馳走。何倍にも美味しく感じます」とAさん。気温が低い中で食べる温かい食事は最高だという。

 先が見えないコロナ禍で三密を避けられるレジャーとして注目のキャンプだが、冬キャンプならではの魅力もたっぷり。防寒対策をしっかりして、楽しみたい。