昨年に引き続き、一部地域に2度目の緊急事態宣言が発令されている最中、全国の大学では4月以降の2021年度講義形態に関する会議やミーティングが行われている。コロナ禍に伴うオンライン講義導入によって、新入生のなかには一度も対面講義を受けた経験がないままに、1年生が終わろうとしている学生もいるという。ただ、昨秋より対面講義を再開させた大学も少なくなく、2021年度は感染予防対策を徹底したうえで、基本的に対面講義を実施するという方向で調整が進んでいるようだ。

 たしかに、大学とは自習で完結する場所ではない。キャンパスという空間で学生同士、あるいは教員と学生が集い、議論を交わすことは多くの利点がある。もちろん教員もそのメリットを理解しているが、やはり不安視されるのは大教室講義などが再開されることによる、新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 関東の私立大学で教員をしている男性・Aさん(助教・30代)は、次のように語る。

「周囲の研究者と情報共有していると、やはり2021年度は基本的に対面講義という大学が多いようですね。もちろん、ソーシャルディスタンスを取って学生を着席させ、手指消毒や検温を徹底するなど、対策を講じれば可能でしょう。

 しかし、問題は大人数を収容できる教室に限りがあることです。大人数講義を再開するとしたら、300人、400人教室では確実に密が発生します。実際にうちの大学は最大の教室でも収容人数が450人。この場合、履修登録で人数を半分以下に減らし、抽選を行うべきか? あるいは、大人数は遠隔にすべきなのか? まだ考える余地はあるはずです」(Aさん)

 実際、関西圏の有名私立大学で勤務する男性教員・Bさん(准教授・40代)も、大教室をいかに確保するかが大きな問題になっているという。

「多くの大学では、教員が各自で、講義ごとに利用したい教室を指定します。従来は10〜20人定員ほどのゼミ教室を希望していた先生方も、おそらく通常よりも広い教室を希望するようになるでしょう。大教室に希望が殺到すれば、当然、そこから漏れる先生もいるわけですね。教授陣には高齢者も少なくありませんし、基礎疾患がある教員もおります。その場合、『密リスク』が高い教室にあてがわれた教員への配慮など、考えるべきことはまだまだ尽きません」(Bさん)

 くわえてBさんは、対面講義再開に伴い、サークル活動などの課外活動の再開も認めるべきなのか、慎重な判断が求められると付け加える。

「たとえば関西大学は、早いうちから対面講義を再開していました。しかし、同大学では秋に学生のサークル活動を通じてコロナのクラスター(集団感染)が発生しており、約1900名の学生が自宅待機になったと報じられています。同大学はコロナ対策を徹底していたと言われていますが、それでもクラスターが発生してしまうケースはあります。

 いくらキャンパス内で感染予防対策を講じても、部活動や学外でのサークル活動を全面的に解禁してしまうと、そこまでの面倒を見きれないというのは正直なところでしょう。学生のニーズに応えることはとても大事ですが、それによって生じる影響についても慎重に議論しなくてはなりません」(Bさん)

 大学入試シーズンの真っ只中だが、夢のキャンパスライフを思い描いて入学してくる新入生には、まだまだ厳しい状況が待ち受けていることだろう。もちろん、大学側もあらゆる方向で施策を講じている。各大学には情勢に応じたフレキシブルな対応を期待したい。