国会内の喫煙専用室をめぐる報道が、議論を呼んでいる。政治家らが利用する衆議院本会議場の喫煙所は、かねてから「密」だと批判されてきたが、ようやく2月に仕切りを設けることで半個室化された。すると今度はこの喫煙室が、国会内83か所に設置されているということが報じられ、話題になった。

 昨年4月に全面施行された改正健康増進法で屋内は原則禁煙になったが、国会は飲食店やホテルと同様の「第二種施設」扱いで、喫煙室の設置はOK。一方で民間では、同法による規制強化と新型コロナ感染対策が合わさり、屋外喫煙所への変更や喫煙所の封鎖・廃止が相次ぎ、喫煙者は我慢を強いられている状況だ。

 そうした背景もあり、SNSでは〈バカにしてるのか〉〈さすが上級国民〉〈議員なのだから示しをつけろ〉などと批判が上がった。国会内に喫煙所が多すぎることを問題視する声は少なくない。

 その一方で、昨今の喫煙事情を訴える声として、〈国会に多いのではなく、市中に少なすぎる〉〈喫煙所が無くなっている影響か、建物の陰などで喫煙している人が増えた。ポイ捨てや受動喫煙を防止するという趣旨からは逆効果では〉などの声が出ており、「嫌煙家」を名乗る人からも、〈最近喫煙スペースがなくなり、建物の入り口近くなど人通りのある場所で吸ってる人が増えているのに迷惑してる。喫煙スペースを廃止する流れを止めて欲しい〉という意見も出ていた。

 昨年来、オフィシャルに喫煙できる場所が減りつつあることで、様々な問題が浮上しているようだ。

 メーカーに勤務する40代の男性会社員・Aさんは、「喫煙所難民」の一人だ。

「国会は喫煙室があって羨ましい。屋内禁煙化に加えてコロナ対策で街中の喫煙所がどんどん封鎖されていて、喫煙者の居場所が全然ないのが実状です。封鎖するより、増やした方が密を防げるのではないかと思うのですが、どうせ喫煙者の意見なんて受け入れてもらえないんでしょうね」(Aさん)

 昨年10月のたばこ税増税に伴い、1箱50円ほど値上げされたたばこ。代表的な銘柄「メビウス」では、490円から540円に値上がりした。Aさんは、たばこ税を払っている喫煙者として、もっと還元してほしいと嘆く。

「値上げするなら、もっと喫煙環境の整備を進めてほしい。税金をたっぷりとっておいて喫煙所を奪うって、よく考えたらひどい話ですよね」(Aさん)

 非喫煙者はどう思っているのか。IT企業に勤務する30代の男性会社員・Bさんは、喫煙所が減らされて以降、路上で吸う人が目立つようになったのを実感している。

「たばこを吸う人が封鎖された喫煙所周辺に集まっていたり、その周辺が吸い殻だらけになっている光景をよく見るようになりました。歩きたばこも見かけることが増えた気がします」(Bさん)

 Bさんは、「議員が吸うのはどうでもいい」と一蹴する。

「そもそもたばこは違法なものではない。国会に喫煙室を作っちゃだめというルールもないのだから、そこは論点ではない。喫煙室の数が多いのも、むしろいいじゃないですか。それなら民間にも、同じようにしっかりと喫煙できる場所を作ったほうがいいんじゃないか、という考えです。どうせ喫煙者はたばこをやめないんだから、吸える場所を作ってあげれば、棲み分けができて受動喫煙防止になる。喫煙者のマナー向上にもつながるんじゃないかと思います」(Bさん)

 30代女性のCさんも非喫煙者だが、Bさん同様、喫煙所の設置を訴える。

「本当に“悪い”んだったら、売っちゃダメですよね。私は、たばこのにおいは正直嫌いですが、最近は、飲食店などで分煙されるようになっていて、快適さを感じていたところです。つまり、喫煙所で吸ってくれていたら何も問題はない。それにたばこ税の収入って、莫大なんですよね? もしたばこを禁止して税収が下がって、それを補うために消費税を増税するとなったら、それこそ暴動が起きますよ」(Cさん)

 実際、たばこの税収は年間2兆円を上回り、基本的には使いみちが指定されない一般財源。1998年に創設されたたばこ特別税については、国鉄清算事業団の債務処理に充当されている。たばこ税を払っていない非喫煙者も、国や自治体から少なからず“恩恵”を受けていることになる。

 コロナ禍で喫煙者も非喫煙者も何かと我慢を強いられるこの時勢。はたして喫煙所は減らすべきなのか、増やすべきなのか──。