菅義偉・首相の長男・正剛氏ら東北新社幹部から7万円あまりのステーキ接待を受け、さらにNTTからも接待されていたことが週刊文春に報じられた山田真貴子・前内閣広報官は、病気を理由に辞任した。

 元総務官僚でもある山田氏は現在60歳、民間企業勤務なら定年退職で雇用延長や再雇用に直面する世代であり、再就職先探しに途方に暮れるところだが、高級官僚となると事情が変わってくる。元経産官僚の古賀茂明氏が語る。

「一般職の国家公務員は減給処分を受けると1年半出世できない規程があり、出世競争に遅れてしまうから大きなデメリットですが、総理が任命する内閣広報官のような特別職国家公務員には国家公務員法や同倫理法の規程が適用されず、出世という概念もないから、総理のご機嫌さえ取っていれば自分の身は守れるし、退職後も再就職先の心配はないでしょう。

 山田さんは次官級の総務審議官で退官しているから、総務省系の独立行政法人の理事長クラスや、電気通信関係など総務省所管の大手企業の役員などが天下りポストとして考えられる。最初は取締役で、最終的には副社長クラスといった感じでしょうか。ただし、ほとぼりが冷めるまではシンクタンクや金融機関などの顧問を務め、悠々自適の休養期間となるのではないか」

 老後の心配がいらないことは、他の不祥事官僚の「その後」をみればわかる。

 安倍内閣時代に加計学園の獣医学部新設疑惑で“渦中の人”となったのが当時の柳瀬唯夫・首相秘書官だ。獣医学部誘致のために官邸を訪れた今治市職員や加計学園事務局長の前で「本件は首相案件」と語ったことが今治市資料で明らかになって国会で追及されたが、「記憶にない」と安倍前首相をかばい続けた。

 柳瀬氏はその後、経済産業審議官を務めた後、電機メーカー子会社の非常勤取締役や国際協力銀行シニアアドバイザーという“休養期間”を経て、昨年6月にNTT副社長とNTTグループの持ち株会社・日本電信電話の執行役員に就任した。

「次官候補だった柳瀬氏は加計問題で次官になれなかったが、辞めた後も安泰だったわけです」(古賀氏)

 菅義偉・首相が総務大臣時代に推進した放送行政改革に反対し左遷された南俊行・放送政策課長(当時)は、その後、逆に菅氏に目をかけられて情報流通行政局長や内閣審議官を歴任、損保会社顧問を経て昨年6月、NTTドコモの常務執行役員に天下っている。

 政権の不祥事に自ら泥をかぶって首相を守った官僚や首相の覚えめでたい官僚が、おいしいポストに就いているのだ。

 天下りを受け入れた企業に聞くと、「柳瀬氏は経産省の経済産業政策策定者として豊富な経験を有しており、幅広い経営的視点からの造詣に期待し登用しました。第三者からの依頼は一切なく、当社から依頼した」(NTT広報室)、「南は、総務省において情報通信事業に長年にわたり携わるとともに国際戦略にも造詣が深いことから、当社から常務執行役員への就任を要請したものです」(NTTドコモ広報部)と回答。

 山田氏もそのうち「情報通信事業や広報戦略に造詣が深い」とトップクラスの企業から招かれると考えるのが自然ではないか。

※週刊ポスト2021年3月19・26日号