年金受給が始まる65歳からは、完全リタイヤ生活に向かう最後の準備期間となる。この時期に手放すべきものとは何か。

 警察庁によると、昨年1年間でオレオレ詐欺などの特殊詐欺事件1万3526件のうち、「65歳以上」の高齢者の被害が8割以上を占めた。コロナ禍に便乗した詐欺も増えており、昨年は未遂を含めて55件、約1億円の被害が確認された。

 そのきっかけとなっているのが電話で、警察庁は犯人からの電話に出ることのないよう、高齢者宅の固定電話を留守番設定にするよう呼びかけている。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏はこう言う。

「特殊詐欺に限らず、勧誘の電話も固定電話を狙ってかかってくるものなので、判断力が落ちてくる年代にさしかかると、固定電話があること自体リスクになっている。65歳以上は解約を検討してもいい時期かもしれません」

 NTTの固定電話を解約し、携帯電話の使用だけにすることで出費も抑えられるという。

「5分以内の通話を月に4回以上するなら、5分以内のかけ放題プランが、長電話する方なら時間無制限のかけ放題プランがお勧めです。NTT固定電話の基本料金プラス通話料と同じかそれ以下の負担で、かけ放題が可能です」

 そのほか、スマホの無料通話アプリなどの利用も考えられる。

 生命保険も、65歳を機にあらためて見直すべき時期となる。

「60代以降も嘱託で働いたので、いつまでも気持ちは50代でしたが、現役卒業を実感させられたのが生命保険でした。60歳を超えると一気に保険料が高くなる。生命保険の保険料が生活の負担として重くなったので、それまでの保険を解約して県民共済に入りました」(68歳元会社員)

 生命共済は64歳までなら月1000円〜数千円という割安な掛け金が何より魅力だ。入院・通院時の保障に加え、病気や事故での死亡保障、後遺障害もカバーしてくれる。しかし、その共済保険の中でも、都道府県民共済やJA共済などの非営利団体が運営しているものは65歳を過ぎたら見直すべき対象に変わる。総合保険代理店R&Cの金山亮佑氏が言う。

「一般的な生命共済は、65歳を過ぎると『熟年型』に移行して保障内容が下がります。同じ2000円の掛け金でも、64歳までは入院日額5000円だったものが2500円と半減する。これでは掛け金も割高に変わるので、公的健康保険や万が一の保障がほかで用意できていれば、共済保険は65歳以降、やめる検討をしてもいいと思います」

※週刊ポスト2021年4月9日号