離れて暮らす親の認知症発症に気づかないことは多い。初期から徘徊の症状が出ることもあり、警察からの「親御さんを保護しました」という連絡で初めて知るケースも少なくない。

 そういった事態を避けるために検討したいのがGPS機能付き携帯電話の契約だ。端末に表示した地図上に相手の居場所が表示されるサービスを携帯各社が行なっており、手続きすれば自分の携帯電話で親の居場所がいつでも把握できるようになる。

 郵便局や自治体が定期的に実家を訪問してくれる見守りサービスへの加入も合わせれば、親の自宅での事故やトラブルの早期発見につなげることができるだろう。

 相続や介護の問題に詳しい「夢相続」代表の相続実務士・曽根恵子氏はこう言う。

「親御さんの地元の地域包括支援センターに一緒に行き、介護予防の『基本チェックリスト』で自立の度合いの現状を確認し、支援が必要になったときどうすればいいか、一緒にアドバイスを貰えれば、親子とも安心するのではないか」

 各自治体の「地域包括支援センター」では社会福祉士、ケアマネジャーなど介護の専門家に無料で相談でき、介護保険サービスの相談窓口になってくれる。近隣にある介護サービス事業者や施設、専門医の医療機関などを把握することもできる。

 親の介護でネックになるのが、「お金」の問題だ。親のお金を介護のために使いたくても、認知症になってしまうと預金が引き出せないことがある。

 そうなる前に、金融機関で代理人カードを作ったり、定期預金を解約して普通口座に移したりすることで、家族がお金を引き出しやすくなる。

「低金利時代の今、金利のつかない定期預金を解約し、入院や施設入居などに備えて、すぐに使えるお金にしておくとよいでしょう」(同前)

 詐欺被害を未然に防ぐために、固定電話を解約して携帯電話を使ってもらうことを考えたい。「知らない番号からの電話には出ないで」と伝えておくことも大切だ。

 老人ホーム入居費用など多額の資金が必要になったとき、どこから捻出するかも話し合っておきたい。預貯金や不動産など親の資産を使う場合に利用を検討すべきなのが、任意後見か家族信託の2つの制度だ。

「相続財産が多い人は検討したほうがいい。親が認知症になった後では話し合いができないので、できるだけ早く手続きを進めておく必要があります」(同前)

 実家や資産を売却して費用に充てるなら「家族信託」が、親の年金を月々の介護・生活費用に充てるなら「任意後見」が必要などの違いがあるので、弁護士や司法書士ら専門家に相談のうえ親子で話し合いを進めたい。

※週刊ポスト2021年4月16・23日号