4月4日は二十四節気のひとつ、清明節。中国では“墓参りの日”である。毎年、祝日となるが、今年は日曜日となるため、5日(月曜日)が振替休日となった。株式市場もこれに合わせ、香港、本土市場とも休場となった。

 前週までの日足チャートをみると、上海総合指数はダブルボトムを形成した感があり、底打ち感が出て来た。香港ハンセン指数は、ようやく25日移動平均線を超え、リバウンド局面にあるようにも見えるが、3月上旬から中旬にかけてもみ合ったあたりに差し掛かっており、上値は重いかもしれない。

 NYダウが5日、過去最高値を更新する中で、中国株の出遅れ感は強まっている。マーケット全体がグローバルなマクロ要因、需給要因などに大きく左右される相場が続いているだけに、業績見通しのしっかりとした長期投資できる銘柄が選考されるのではないだろうか。

 3月26日、中国の葬祭業界トップの福寿園国際(香港株:01448)が2020年12月期の決算を発表した。結果は2.3%増収、7.2%増益。安定成長となったものの、2019年12月期までは7期連続で二桁増収増益を続けていた。また、純利益率は32.8%で、不動産業などと比べると、収益性は高い。

 同社の2020年12月期業績についてもう少し細かく説明しておくと、まず、部門別売上構成は、墓地の販売が83.4%、葬儀サービスが13.4%、その他サービスが4.4%、部門間相殺が▲1.2%。新型コロナウイルス感染拡大の影響はこの業界にも影響が及んでおり、墓地の販売は1.8%増、葬儀サービスは▲1.6%減となった。その他サービスなどが増えたものの、全体の売上高は2.3%増に留まった。コストではもっとも売上比率の高い人件費(20.4%)が抑えられたことなどから7.2%増益を確保した。

墓地の生前契約で営業攻勢

 上海地区の売上高が46.9%を占めるが、営業エリアは広く、中国全国18省・自治区・直轄市に及び、40以上の都市で事業を展開している。全国規模で墓苑を買収する形で事業を拡大している。この点だけをみると、古いタイプの事業のように思うかもしれない。しかし、新しいサービスを次々に生み出しており、イノベーション企業としての一面も持っている。

 例えば、コロナ禍により中国では日本以上に厳しく三密が抑えられている。そのため、人々が葬儀に集まることは難しく、それが葬儀サービスにとって大きな打撃となっている。その対策として、同社は葬儀サービスをクラウド化して、オンラインでの葬儀を普及させた。同様にオンラインでの法事、墓参りサービスなどを充実させることで、業績への悪影響を最小限にとどめている。また、こうしたサービスは、アフターコロナ下においても、新たな需要獲得のツールとして機能しそうだ。

 営業形態としてはこの業界、どうしても待ちの営業となりがちだが、葬儀、墓地の生前契約で営業攻勢をかけるなど、積極的な売り上げ拡大にも努力している。

 同社が主力とする上海地区は地価が高く、墓地の確保が難しい。そうした状況で一人当たりの墓地を大幅に小さくする技術が取り入れられている。同社は4月1日、上海青浦区福寿園において、一人当たりの区画が50平方センチ程度の“蔵晶苑”を正式に落成させた。この小さな区画には、遺骨を二度にわたり高温で焼結させ、小さな水晶状の石にして埋葬する。いわば、最先端のお墓である。

 中国でもライフスタイルは目まぐるしく変わっており、それにつれて欲しいモノ、サービスも移り変わる。しかし、人が先祖を思う気持ち、儒教でいう「孝」の文化は依然として根強い。新規参入障壁は小さくないだけに、事業の安定性も高い。長期保有銘柄として注目する投資家も多いのではないだろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動中。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。