自分に合った相手を探す結婚相談所。そこで素敵な出会いを果たし、結婚できれば大成功だが、いいところまでいったのに破談になってしまうケースもあるだろう。そこで問題になるのが、相談所に支払う「成婚料」だ。婚約までいって成婚料を払ったものの、その後に破談になった場合は、どうなるのだろうか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 娘が結婚相談所を通じて出会った相手と婚約したので、成婚料30万円を支払って退会しました。その後、婚約者と同居を始めましたが、1か月ほどで考え方の違いから破談になったため、同じ結婚相談所に「再び婚活を始めたいので、成婚料を返してほしい」と言いました。しかし、「結婚を前提に一度退会したので、成婚料の返金はできない」と言われました。同じ結婚相談所で再び活動をする場合でも成婚料は返金してもらえないのでしょうか。(東京都・58才・主婦)

【回答】
 結婚相談所は、「結婚を希望する者へ異性の紹介」をするサービスです。相談所は、登録者から条件に適した異性をピックアップして紹介することが主たるサービスですが、相談にのったり、助言したりするサービスもあります。そしてその紹介した異性同士が婚約すると、サービスの目的を達したものとして成婚料というまとまった金額のお金を支払って退会となるようです。

 結婚相談所のサービス提供期間が2か月以上で、5万円以上の会費などの紹介料の支払いがなされる場合、特定商取引法が定める「特定継続的役務提供」になります。同法が適用される結婚相談所は、入会申し込み時点でサービス内容や対価(料金)の額、サービス提供期間等の契約内容を明らかにする文書(法定書面)を申込者に交付する義務があります。娘さんも成婚料の支払いや退会についての条件を確認していると思います。

 業者に一定の業務を委託する取引で契約上成功報酬を定めていれば、業者の作業の結果、報酬の支払条件が達成されると、業者は報酬請求権を取得します。成婚料は結婚相談所の成功報酬でしょう。契約で、婚約が成婚料支払いの条件であれば、その段階で会員の支払い義務が生じます。

 結婚は両人の合意によるもので、他人が左右できません。結婚相談所も結婚までは請け負うことはできません。そこで、婚約の時点で成功報酬である成婚料を支払うことが約束されるのは不合理ではありません。

 また、契約期間が婚約成立までという条件であれば、婚約でサービス提供期間が終わっているので、改めて契約しないと紹介サービスを受けることはできません。娘さんの希望はかなわないと思います。

 とはいえ婚約は、結婚の約束です。正当な理由なく破棄すれば、相手方に対する慰謝料の支払い義務が生じる場合もある大切な合意です。結婚を目指してつきあおうというだけではそもそも婚約といえるか疑問です。

 そこで結婚相談所との契約で、成婚料支払いの条件である婚約がどの程度のものとして約束されていたか、さらに娘さんの場合、その程度に達していたといえるかが問題になる可能性があるかもしれません。

 もちろん契約条件があいまいだったり、そもそも法定文書による契約条件の説明がなければ、契約の効力自体が問題です。疑問があれば、消費生活センターなどに相談することをおすすめします。

【プロフィール 】
竹下正己 (たけした・まさみ)/1946年大 阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2021年5月6・13日号