英BBCが報じた新疆ウイグル自治区での綿花生産におけるウイグル人らの強制労働の実態を受け、スポーツメーカーの米ナイキとアパレルメーカーのH&M(スウェーデン)は「懸念」を表明。以後、ウイグル産の綿花を製品に使用しないこととした。

 両社が突きつけた「NO」に、中国国内では不買運動が展開され、中国の主要通販サイトがH&Mを排除するなど“実力行使”に及んだ。中国国営メディアも、両社を批判するキャンペーンを展開中だ。

 世界のグローバル企業が声を上げるなか、日本企業の反応は鈍い。

 4月8日、ユニクロを展開するファーストリテイリングの決算会見でウイグル問題について問われた柳井正会長兼社長は、「人権問題というより政治問題」であり、「政治的には中立な立場でやっていきたい。ノーコメントとさせていただきたい」と述べた。

 なぜ、欧米企業に比べて日本企業の歯切れが悪いのか。『経済界』編集局長の関慎夫氏はこう見る。

「中国・香港・台湾を合わせた中華圏の売り上げが全体の2割超を占めるユニクロは、中国で不買運動が起きたら売り上げを大きく減らしてしまう。柳井氏の対応は仕方ないでしょう。

 日立製作所やソニーなどの電機メーカーも売り上げの約1割は中国が占める。国内市場の縮小が見えているなかで、隣で6%成長している“市場としての中国”はかなり魅力的に映るはずです」

 しかし、人権問題を無視すれば、批判は免れない。経済ジャーナリストの磯山友幸氏はこう指摘する。

「一般消費者にモノを売るBtoCの企業が態度をはっきり示さず『中国政府を慮っている』と受け取られれば、『人権抑圧に加担している』との印象を与え、欧米諸国から批判される可能性があります。

 台湾問題や南沙諸島問題など、中国政府の横暴が明らかになってきていることもあり、日本国内の消費者の中国への見方も厳しくなりつつあります」

 ウイグル問題を批判しても、しなくても、日本企業は難題に直面するわけだ。

※週刊ポスト2021年5月7・14日号