葬儀は遺された家族にとって、労力も費用も大きな負担となる。だからこそ生きているうちに準備を進めておきたいと考える親は多いが、それが裏目に出ることがある。

 目立つのが、生前に積立金を払うと会員価格で葬儀ができる「互助会」にまつわる失敗だ。都内在住の50代男性が語る。

「『俺の葬儀で子供を煩わせたくない』が口癖だった父は、互助会に加入して75歳で30万円を完納しました。担当者からは、70万円の祭壇が30万円を積み立てるだけで使用できると聞いていた。

 これで不安はないと思っていたのですが、それから5年後に父が亡くなって互助会の担当者と葬儀の打ち合わせをしたら、湯灌や引出物の費用が追加でかかると言われたんです。結局さらに90万円ほどの追加費用を払うことになった。死んだ親父には悪いが、これなら老後のなけなしの年金の中からわざわざ積み立てる必要はなかったのに、と思います」

 予想外の費用を請求されるケースだけでなく、「多額の積み立て」で損をする場合もある。

 群馬県の50代男性は、大手葬儀社の互助会に長年加入していた父親を昨年に亡くした。

「父は、80万円クラスの葬儀を開くために、月額5000円を8年間、積み立てていました。ところがコロナの最中に亡くなったので、そこまで大規模な葬儀は必要ありません。我々遺族は通夜・告別式をせず、火葬のみの小規模な葬儀を希望しましたが、互助会員の割引を加味しても近所の葬儀社の見積もりのほうが安かった。

 そこで解約を申し出ましたが、掛け金の20%ほどの解約手数料がかかるという。結局、“父の遺志だから”と互助会の葬儀社で80万円クラスの葬儀をすることに決めたが、こんな時期なので弔問客も少なく、これでは父も浮かばれないと思いました」

 葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏が指摘する。

「近年、特にコロナ禍では通夜・告別式を省略する『直葬』や家族と親戚、ごく一部の知人だけを呼ぶ『家族葬』が増えています。たとえ本人が盛大な葬儀をしてほしいと前もって互助会に加入していても、条件などについてご家族や葬儀社ときちんと共有しておかないと、希望通りの葬式の実現が難しい場合があります」

※週刊ポスト2021年6月4日号