2019年にお笑いコンビチュートリアルの徳井義実による「税申告漏れ」が話題となった。無申告で済ませることは大きな問題だが、芸人などタレント活動を行う人の中には「どう申告していいかわかりづらいお金」もあるようだ。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 若手芸人です。こんな僕にも、最近はファンが増え、会場などで出待ちをされ、高額のQUOカードや商品券をいただくことがあります。たぶん、お金に困っていると思われているのかも。問題は確定申告で、このようにプレゼントされた商品券なども、きちんと申告しなければいけないのか悩んでいます。

【回答】
 QUOカードや商品券は金券で、財産価値がありますから、税金の心配はもっともです。あなたは、所属プロダクションから給与を支給されたり、独立した事業者として興行主から報酬を貰い、労働事業の対価として所得を得て、税金を納めているのだと思います。

 所得税では、所得の種類を特定していますが、前者であれば、給与所得、後者なら事業所得です。ファンからのプレゼントが所得税の定める所得に該当すれば、それに対応した課税を受けます。街頭で継続的に芸を披露し、ファンからの投げ銭を収入とする大道芸人だとすれば、事業所得になり、課税されます。

 ただ、給与や報酬が労働や事業の対価とすると、ファンのプレゼントは気持ちから生じるもので、個々の芸能活動、それ自体の対価とは言い難く、こうした所得ではありませんが、所得税法では典型的な所得でなくても「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」を「一時所得」に分類、これに該当しなくても「雑所得」として課税するなど包括的に網をかけ課税します。

 他方「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」の所得税は非課税です。個人のファンからのプレゼントが、対価性がなく、好意提供されるものと考えることができれば、贈与になり、所得税はかかりませんが、贈与税の対象となり、年間110万円を超える贈与部分には課税されます。

 細かい金券などをいちいち整理するのも大変ですし、税務署も捕捉しきれないと思います。それでも、誠実な納税者たらんとするのであれば、1年分を貯めておいて集計し、110万円を超えていたならば、所得税の確定申告時に、贈与税も申告するべきでしょう。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2021年6月4日号