家族をバラバラにするような死に方を避けるには、正しい備えが必要になる。そのためには、各種手続き・申請の段取りや必要書類を頭に入れるとともに、どういった「考え方」に基づいて手順を踏んでいくとよいのかを理解しなくてはならない。

 遺産分割で重要になるのが遺言書だ。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美氏が解説する。

「自筆証書遺言の場合、方式の不備で無効にならないように注意が必要です。書き方次第では相続手続きができないので、弁護士や行政書士などの専門家に相談したうえで書くことをお勧めします。

 また、紛失や改竄を防ぐために、法務局に保管してもらうといい。そうすると、死後に相続人が家庭裁判所で遺言書の検認手続きをする必要がなくなるメリットもあります。また、費用はかかりますが、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言という選択肢もある。いずれの場合も、専門家や家族を遺言執行者に指定しておくと、手続きがスムーズです」

 トラブルを防いでいくためには、こうした手順に加え、「考え方」が大切になる。

「『自分の意思』を一方的に書いてしまい、死後にもめごとに発展するケースが多い。遺言書は残された家族が争わないように書かなければ意味がありません。内容を家族に相談したためにもめるケースもあります。もめそうな内容の場合は、そう書いた理由や思いを『付言事項』として書き加えることで、残された家族が納得する場合もあります」(明石氏)

 遺言書とセットになるのが財産の一覧(財産目録)だ。

「銀行預金なら金融機関名や口座番号、株なら証券会社名や銘柄、所有している不動産の住所などを書いておきます。事前に財産状況を知られたくない場合は金額まで記入する必要はありません。また、口座引き落としになっていて解約が必要になるものは書き留めておくと、亡くなった後の手続きが格段に楽になる。

 重要なのは負債です。住宅ローン以外の借金は、どうしても隠したくなりますが、借金の存在を誰かに伝えておかないと、見つけ出すのは預金以上に労力がかかります」

 別掲の表には、死ぬ前に家族と相談して準備しておきたい10の手続きをまとめた。相続に関連する財産目録の作成、配偶者居住権の設定などから、生前整理、エンディングノートの作成まで、死後になるべく家族に迷惑をかけないよう心がけたい。

※週刊ポスト2021年6月18・25日号