内閣府が、2020年12月から2021年1月にかけて、日本、米国、ドイツ、スウェーデンの高齢者を対象にした国際比較調査では、日本の高齢者の約3割が「親しい友人がいない」と回答した。4か国中で最も多い割合となり、日本の高齢者が社会的に孤独となっている現実が明らかになった。特に、コロナ禍で自粛生活を強いられたことも、状況を悪化させた要因となっている可能性もありそうだ。

 コミュニケーションの問題や格差社会に詳しい評論家で著述家の真鍋厚さんが指摘する。

「コロナ禍をきっかけに“孤独”にまつわる問題は世界的に注目され始めました。日本でも2021年2月には、英国に次いで孤独・孤立担当大臣が任命されました。もちろんひとりでも自主的にコミュニケーション能力を発揮して楽しく幸せに生きる人はいますが、その一方で周囲と良好な関係を結ぶことができず社会的に孤立し、最悪の場合は孤独死を迎える人がいる。これは『孤独格差社会』というべき状況です」

 こうした不幸な死がある一方で、第三者から見れば「孤独死」のような状態であっても幸せな最期を迎えることができる事例もある。

 北海道在住の井上洋次さん(74才・仮名)は1年前に先立った友人である80代男性のことをよく思い出すという。

「釣り好きの気のいい人で、ひとり暮らしだったけれど、家には2〜3日に1度のペースで友達が訪れ、夜な夜な酒を飲み、語り合っていたことを覚えています。急な心臓発作で自宅で倒れて死後2日目に近所の人に発見され、かたちは孤独死でしたが、ぼくを含め周囲のみんなは『これが理想の死に方じゃないか』と口々に話しています」(井上さん)

 精神科医の樺沢紫苑さんは、こうした人間関係を「横の関係」と呼び、孤独を癒すためのツールとして推奨する。

「オーストリアの高名な心理学者・アドラー博士によると、相手を支配しようとする『縦の関係』はストレスが多くなる一方、対等なつながりである『横の関係』なら自分の胸の内を素直に相手に伝えられ、ストレスがかかりません。親子関係はいろいろなしがらみがあり縦の関係になりやすい半面、第三者や友達は横の関係となり、孤独を埋められると考えられます」(樺沢さん)

 2010年に肺がんで他界した芸能リポーター・梨元勝さん(享年65)の妻である玲子さん(74才)も、配偶者の死という大きな悲しみを「横の関係」によって癒すことができたと振り返る。

「夫が亡くなった直後は、会社関連の事務処理などに追われて悲しむ間もありませんでした。少し落ち着いたのと同時に寂しさがどっと押し寄せてきて、夫の声を聞きたくなった。そんなときに声をかけて、気を紛らわせてくれたのが、中高時代の親友や、趣味の宝塚観劇で知り合った友人でした。後に友人も同じ経験をしたことで絆がさらに強まり、いまではみんなで『あの人は○○だったよね』と亡き夫の愚痴を言い合って、互いに支え合っています。

 長女の麻里奈(41才)は『またお母さんが悪口言っているよ』と天国の夫に向かって言っていますが、たとえ愚痴でも夫のことを思い出すのが供養だと思います(笑い)。いまも私と同居してくれる麻里奈と、友達にはずいぶん助けられています」

 老後は、気の置けない友人との「横の関係」を作ることを意識したい。

※女性セブン2021年6月24日号