日本における最高レベルの大学である東京大学。もし、東大のことを“勉強ばかりしてプライドの高いエリートが通う難関大学”だと思っていたのなら、大きな勘違いかもしれない。そもそも「学校の成績がいい」ということは、相対的な評価でしかなく、卒業してしまえば、それ自体には大きな価値はない。

 それでも東大が存在感を放つのは、卒業生一人ひとりが示す、圧倒的な可能性だ。医師や弁護士、国家公務員、そして起業家──『東大王』(TBS系)などですっかり有名になったクイズ王・伊沢拓司(経済学部卒)もその1人だ。自身が立ち上げたウェブメディア「QuizKnock」で、クイズを通じて学ぶ楽しさを広めている。

 昨年から弁護士として活動している宮本康平さん(法学部卒)は、プロゲーマーとして、eスポーツの世界でも活躍し、「司法試験よりもゲームで勝つ方が難しい」と語る。東大名誉教授の上野千鶴子さんはこう話す。

「東大に入って得られる最大のメリットは、選択肢が広がることです。これは特に女子学生にいえることですが、たとえば、“将来は国際機関で働きたい”“国家公務員になりたい”といったことが、サラリと言える。周囲にも卒業生にもモデルがいるため、手が届くと信じられる。よそでなら“そんなのムリ”“非現実的”と言われるようなディスカレッジ(*反対したり、水を差したりすること)を受けない。これは素晴らしいことです。東大に入った時点で、“頑張れば報われる”と思えるのです。もちろん、ホームレスになる自由だってあります」

 東大を目指して勉強を始めれば、学ぶ楽しさがわかる。合格して赤門をくぐれば、日本一の環境で、優秀な仲間と切磋琢磨する。そして卒業後は、文字通り無限の可能性と、それを支えるシステムが整っている。

 その“門”は、誰に対しても平等に開かれている。『東大メンタル「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』(日経BP)の著者で、経済学部4年生の西岡壱誠さんは言う。

「東大受験に特別な資格や技能はいりません。共通テストと二次試験にパスすればいいんです。つまり、人生でたった2回、テストでいい点を取れば、日本でいちばんの大学に行ける。欧米では高校での成績が評価されるので、一発逆転はほぼ不可能です。ですが、日本では、逆転劇は普通のこと。私も高校3年生のときは、偏差値35だったんですから(笑い)」

「東大に入り、東大を出ること」が人生にもたらしてくれる価値は何か。西岡さんは、同じ質問を『ドラゴン桜』の原作者、三田紀房さんにぶつけたことがあるという。その答えはこうだ。

「これからわかるよ。東大の本当の価値は、卒業して初めてわかるんだ」──。

※女性セブン2021年7月1・8日号