今年もお中元シーズンが到来中だが、その文化は次第に薄れてきているようだ。調査会社マイボイスコムが2020年9月に実施した「お中元に関するアンケート調査」によると、お中元を贈っていない人は63.4%で、前回2017年の57.8%から5.6%アップ。2010年の調査以来、過去最高となった。

 今もお中元やお歳暮を贈っている人の中には、「やめたいけど、やめるタイミングがわからない」という人たちもいるようだ。メーカーに勤める40代の女性・Aさんもその一人だ。

「お中元を贈っているのは、今は私の両親と夫の両親、夫が若い頃からお世話になっている上司だけです。親戚や知り合いは次第に贈らなくなる、もしくは贈られて来なくなりました。夫の仕事関係の人たちも、相手の引っ越しや夫の異動などといった節目を機にだんだん贈らなくなったのですが、この上司だけはやめるタイミングがつかめずにいます」(Aさん)

 もう10年以上、夫の上司とはお中元を贈り合っているというAさん。一度は、お中元をやめようと、こちらから贈らなかったこともあったそうだ。

「贈らなかったのに、贈られてきました。そしたら贈らざるを得ないじゃないですか。こちらから贈らないのだから、それは『やめたい』というメッセージと察してほしかったのに……」(Aさん)

お中元をやめた代わりに母の日に贈り物

 建設会社に勤める30代の女性・Bさんは、共働きのため未就学児の息子を母親に預けることが多く、その負担に対する感謝とお詫びの気持ちもあって、母親にお中元とお歳暮を贈っている。

「幼稚園から熱が出たという連絡を受けて、代わりに言ってもらうなど、頭が上がらないのは事実なのですが、自分から『今年のお中元にはこれが欲しい』みたいなことを堂々と言ってくる。正直モヤモヤします」(Bさん)

 Bさんが頭を抱える事情はまだある。親への感謝を示すため、お中元やお歳暮以外にも、母の日や敬老の日、誕生日のプレゼントも欠かさない。コロナ以前は旅行や食事会もまめに計画してきた。さらに自分の親だけでは「悪い」と思い、義父母にも同じ扱いにしているため、出費は馬鹿にならない。

「義両親は何も言ってこないのですが、私の親は、コロナで外出がしにくくなってから、『旅行や食事に行けないんだから、お取り寄せであれが食べたい』というような催促がひどくなり、親孝行とは何なのか、だんだんわからなくなってきました。夫の両親にも贈り続ける負担は大きいので、せめて母の日や誕生日だけにしたい」(Bさん)

 50代の主婦・Cさんは10年ほど前まで、結婚の仲人をしてもらった上司、自身と夫の両親、マンションの隣人などにお中元とお歳暮を贈っていたという。

「カルピスや水ようかん、お酒のつまみになるような瓶詰をよく贈っていました。でも、それをやめたら、本当に楽になりました」(Cさん)

 どのようにして、お中元とお歳暮のサイクルから脱却できたのだろうか。ポイントは品物の代わりになる“行い”だった。

「はがきや電話でお礼や気持ちを伝えるスタイルに変えました。お中元なら暑中、残暑見舞いという形をとりました。代わりに母の日や誕生日には、できる限り贈り物したり、直接会いに行ったりするようにしています」(Cさん)

 感謝の気持ちを伝える方法は、お中元やお歳暮だけではない、ということか。