東京・港区の麻布界隈には、“麻布妻”と呼ばれる富裕層女性たちが住む。自身も麻布妻でライターの高木希美氏は、最近、「麻布から離れた富裕層妻」2人と会ったという。1人は、神奈川県の郊外の豪華な一戸建てに。もう1人は、千代田区の億ションに。いずれも富裕層ならではの住まいだが、「郊外の一戸建て」と「都心のマンション」どちらが“格上”かをめぐって、2人が火花を散らした“事件”を高木氏がリポートする。

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 昔の合コン仲間のアイさん(仮名)から、私とユミさんにハガキが届きました。

「思い切って億超えの借金になりましたが、ゲストルームもあるしテラスも充実しているのでぜひいらしてくだい」──。

 アイさんはバツ1になったあと再婚し、港区での生活を捨て、神奈川県の郊外に最近戸建てを建てました。その家に招待しようというのです。もともとマウント大好きなアイさんは、合コン三昧の頃から彼氏のスペックを並べて友人の彼氏と比較するタイプで、再婚して神奈川の豪邸を手にしてからはさらにマウントが激しくなったようです。

 引っ越しハガキを機に、3人で再会ランチをしました。ただし、場所はユミさんのマンション。ユミさんのところも千代田区のマンションを購入したばかりで、“神奈川は遠いし、コロナで越境したくないから”ということで、ユミさんのマンションに集合したのです。

「ここがゲスト用駐車場なの、狭くてごめんね」と誘導するユミさんに、レンジローバーから降りてきたアイさんは、「これ、旦那にバレンタインからもらった車なの。ウチは駐車場広いからとめやすいけど、都心の小さな駐車場はまだ駐車し慣れなくて」と舌を出しました。部屋に入る前からマウント開始です……。

 千代田区のマンションは、90平米以上ある間取りにarflexやboconceptの家具でインテリアコーディネートしてあって、ドラマの中のような都会的なスタイル。

「へー、収納は多くなさそうだけど、綺麗にしてるね。家賃いくら?」とアイさん。通されたリビングで椅子に座る前にすぐ家賃を尋ねるのは、マウント女子の性なのでしょうか。

「家賃じゃないよ、買ったの。3億までは行かないけどって値段だよ。この辺りは学区もいいから小学校受験に失敗しても中受するには周りの環境が邪魔しないし、思い切っちゃった」

 そう答えたユミさんに、アイさんは「えーたしかに、学区はいいって聞くけど、そもそも都心でカツカツ生きるのはごめんだなー。もう買っちゃったなら一生都心? やだー」と出された紅茶を啜ります。

 2人とも同じくらいの値段の不動産を持っている(実際は夫が買ったものですが……)のに、マウントの応酬が続きました。

アイ「私はマンションて飽きちゃうんだよねー、騒音も気遣うし。あと結局小さな箱じゃない? 飽きない? 景色とか。その点、一戸建てはいいよー? うちはテラスも庭もあるし、一応車2台止められるビルトインガレージだし、何より3階建てだから飽きない」

ユミ「んー、私は小さな頃からマンション住まいだから。一軒家はゴミ出しも大変そうなイメージだし、コンシェルジュが24時間いてくれるシステムと防犯面も含めて、マンションが好きだけど」

アイ「うちはさ、土地もあるじゃん? 千代田区は高いだろうけど、結局土地なんてほとんど持ってないよね。あと、コロナで密は避けたいから、都心ってもう流行らなそう」

ユミ「千代田区とかこの辺りは皇居も近いし、災害も少ないエリアだし、値崩れしないだろうから、高いのは高いなりに理由があると思うけどね。車2台ってことは、車は必須なの? 駅近?」

アイ「最寄駅からは車で15分くらいかなー。けど、車ないとか、ありえなくない? あ!由美ないんだっけ? 旦那にねだって買ってもらおうよ! 中古BMWくらいならすぐ買ってくれるんじゃなーい?」

ユミ「ところで、3階建テラス庭付きだとお掃除大変そうだね。アイは掃除苦手なのにどうしてるの? 旦那さんに嫌がられない? せっかく建てた家汚くしてたら」

アイ「それがね、旦那が優しいからお手伝いさんが週2で来て掃除してくれるし、シッターさんも週1で子供の英語2時間見てくれるの。だから、楽勝なんだよね、由美はもしかして自分で家事? たいへーん」

 こんな2人でも、後日インスタではお互いに「いいね!」し合っているのだから不思議です。きっと他の人たちへのマウントのつもりなのでしょう。

 彼女たちのような豪邸じゃなくても「郊外の一戸建て」か「都心のマンション」かは、ライフスタイルと考え方の違いにすぎません。だからこそ、そこにマウントの材料がたくさん埋め込まれていると言えます。

 ひとつ確実なことは、千代田区住まいのユミさんが、神奈川の郊外にあるアイさん宅には今後も行かないであろうということです。