コロナ経済と長引く自粛生活に苦しむ人が数多くいる一方で、「上級国民」たちは不便、不自由とは無縁の優雅な生活を送っている。その実態はどうなっているのか──。

「僕の会社はIT関連で、コロナに関係なく経営は安定しています。変化したことといえば、リモートで職場に行かなくなったことかな。コロナを機に会社に行くのをやめ、たまにテレビ会議をするくらい。あとは全部、部下に任せています。

 時間が余っているので、近頃は経営者仲間とゴルフと会食三昧。10月も和歌山の白浜や沖縄の石垣島、そして北海道と、あちこちでゴルフと会食の予定がびっしり」

 そう語るのはIT会社を営む40代男性・A氏。年収は5000万円超、すでに6億円の個人資産があるという。

 近年、欧米では「Financial Independence(経済的自立)」と「Retire Early(早期退職)」の頭文字を取った「FIRE」と呼ばれる悠々自適生活への憧れが高まっているが、A氏は「コロナ禍の僕はまさにその状態ですね」と言って笑う。

 車や洋服、時計など“物”にはあまり興味がないが、家にはお金をかけているというA氏。自宅とセカンドハウス代わりのマンションを都内に所有しているが、この9月には「仲間たちと楽しむために」と、新たに沖縄に別荘を購入し、1000万円かけてリフォームした。

 そのかたわら、コロナ禍ならではのサービスも満喫している。

「都内の複数の高級ホテルでサブスク(定額で泊まり放題)が始まったので、面白そうだなと思って。帝国ホテルと東京ドームホテル、三井ガーデンホテルの3つのスイートルームを“住み比べ”してみました。

 どこのホテルもレストランは8時で閉まっちゃうけど、宿泊客はそれ以降でもルームサービスで部屋まで料理を運んでもらえるから、時間も気にせずゆっくり食べられます。帝国ホテルはビールサーバーまで部屋に届けてくれるから、ありがたかった」(A氏)

 ただ、庶民からすれば贅沢すぎる悩みもあった。

「ひとつわかったのは、ホテル暮らしは意外に面倒くさいってこと(苦笑)。全国各地を飛び回る生活のなかで、わざわざ都心のホテルに戻る意味がないというか。結局は遊びに行った先のホテルに泊まってしまうことも多くて、すごく無駄な使い方をしてしまいました」(A氏)

 帝国ホテルのサブスクは30日間で75万円ほどだったが、A氏には出費よりも“時間のロス”がもったいなく感じられたようだ。かくしてコロナは日本の圧倒的な格差を浮き彫りにしている。

※週刊ポスト2021年10月8日号