回線速度向上やスマホの普及などで、いつでもどこでも動画を視聴することができるようになった。さらにはYouTubeなどの動画配信プラットフォームをはじめ、NetflixやAmazon Prime Videoなどの有料動画配信サービスも充実。今、日常生活は動画にあふれている。

 ニールセン デジタルの「デジタルトレンド2019上半期」によれば、スマホからの動画視聴の月間平均利用時間は2019年6月で7時間13分。2015年の同月は1時間15分だったことから、この5年で約4倍に増えたことになる。だが、こうした視聴時間の拡大に伴い、ユーザーたちの中には“動画疲れ”してしまう人もいるようだ。

 20代の男子大学院生・Aさんは、登録したYouTubeの登録チャンネルを見ることが、「だんだん“ノルマ”のようになってきて、最近は苦痛」だと苦笑いする。

「YouTuberをはじめ、企業やメディアの公式動画、Twitterにあがる動画もこまめにチェックしています。好きなアイドルのライブ配信はリアルタイムで見逃さないように、スケジュールを調整することもあります。でも最近、動画に生活を支配されるような感覚に疲れてしまい、距離を置くようなりました」(Aさん)

 そんなAさんが動画視聴の代わりに注目しているのは「音声」。動画コンテンツの音声だけを聴いたり、ラジオを聴いたりしているという。なぜなのか。

「動画は、視聴時に他の作業がしにくいことが難点でした。そんな時、高校生のころは音楽やラジオを聴きながら勉強をしていたことを思い出して、YouTubeでも音声だけを再生するようになりました。

 すると聴くものは自然に話が面白いような、ラジオ的もしくは雑談系のYouTuber、声がいいVTuberに絞られて、スッキリ。ラジオも最高です。昼間はニュースで情報を、夜は芸人さんの番組で笑ってリラックス。勉強も捗り、生活の質がよくなったことを実感しています」(Aさん)

 音声中心にすることで時間的に余裕が生まれただけでなく、金銭面でもメリットがあったという。

「僕のスマホは、もともと通信量の制限がシビアな契約プランで、多くなるとけっこう負担も大きくなる。動画コンテンツを精査したことで通信費もぐっと下がり、これまでは随分“見なくてもいいもの”を見ていたんだなと実感しました」(Aさん)

 30代の男性会社員・Bさんは、動画コンテンツの多さに疲れてしまったと明かす。

「僕が大学生のころは、YouTuberやニコニコ動画が物珍しくて、どんなものでもそれなりに楽しかった。また、昔は無料で見られるんだからと質は気にしなかったのですが、動画が乱立して、玉石混交という状況になると、どうしてもお金をかけたようなものばかりが目立ち、そちらに目が行く。いくら無料でも、面白くないと損した気分になることも多くなりました」(Bさん)

 動画に対して目が肥えてしまったBさんも、音声コンテンツに移行しつつあると話す。特に気に入っているのは音声による読み上げだという。

「通勤のときに、オーディオブックか音声ニュースを聴いています。動画を見るだけでなく活字を読むのも億劫になっているので、こんないいサービスはない。特にオーディオブックは、テキストを読み上げる人にもこだわるようになりました。私の場合、テレビを見なくなってネット動画を見るようになり、それも飽きてしまい、今は音声コンテンツが魅力的だなと感じます」(Bさん)

 最近では音声スピーカーも徐々に普及し始めており、あらためて音声コンテンツの魅力が再認識されている。「radiko」登場でラジオ人気も復活するなど、情報収集には「見るコンテンツ」だけでなく「聞くコンテンツ」もユーザーの選択肢に上がっているようだ。