新型コロナウイルスの流行以降、人との距離を保ちながらも、自宅で一人の時間を過ごすことが増えた。外出自粛や3密回避は、交友関係が広いアウトドア派であればあるほど、影響も大きい。“おうち時間”と称し、さまざまな工夫で自宅で楽しく過ごす方法が注目を集めたほどだ。

 そんななか、一人で自宅でいることが苦にならない人たちもいる。人付き合いが苦手、もしくは一人でいることに慣れている「非リア充(非リア)」「ボッチ」などと呼ばれる人たちだ。彼らにしてみれば、ウィズコロナ時代もそれまでの日常とさして変わらない。コロナ以前はちょっと自虐的に「非リア」を自任していた彼らだが、コロナ禍の今、そのスタイルを堂々と主張できる機運が生まれつつあるようにも思える。

 Aさん(20代女性/商社)は、基本的に「一人」が好きだ。これまで、さまざまな場面で「休日の過ごし方」を聞かれたが、その都度面倒だと思っていたという。コロナ以前からため込んでいた積年の怒りをぶちまける。

「何故か、50代とかのおじさんに、『休みの日は何してる(していた)の?』と聞いてくる人が、すごく多い。私の休日の過ごし方に興味ないでしょって思うんですが、『ゲームしてました』とか『夕方まで寝ていました』とか正直に答えると、だいたい『もったいない!』とか、『天気いいんだから出かけたらいいのに』『友達や彼氏と会ったりしないの?』とか、言われてきました。天気がいい休みの日は、なぜ誰かとどこかに出かけるのが“正しい”みたいになるんでしょうか。

 遊園地や映画館、水族館、動物園なども、基本的に興味ありません。行くとしても、場所によっては一人で行くほうが楽なこともある。でもそう言うと、今度は『デートとかどうするの?』『若いのに渋い』とか言われます。面倒なので薄笑いでやり過ごしますが、人の休日の過ごし方にケチをつけないでもらいたいと、ずっと思ってきました」(Aさん)

 そもそも「リア充」「おうち充」という言葉にも疑問を持っているというAさん。世の中にこう問いかける。

「『リア充』っていう言葉にも疑問をもっていたんです。“リアル”ってなんですか? 自粛期間中、みんなが余儀なくされた“おうち時間”は“リアル”じゃないんですかね? って言いたい。コロナ以降は『おうち充』という言葉も出てきて、謎過ぎです。“充実”って何ですか? 私が満足、充実したと思えばそれがリア充でありおうち充ですよね? 不思議な言葉です」(Aさん)

 Bさん(20代男性/製造業)も、元来自宅で過ごすことが一番好きだという。それだけにコロナ禍によく聞くようになった「家での時間を楽しもう」というフレーズに違和感を覚えると訴える。

「『家での時間を楽しもう』っていうフレーズ、気持ち悪いです。そんなに家って“そもそも楽しくない”前提なのかって言いたくなります。わざわざ楽しもうとしなくてもよくないですか? “普通”ですよ、“普通”。自分が過ごしやすいようにしていればいいだけです。僕なんてもともと早く家に帰りたくてたまらないタイプ。飲み会にも誘われなくなったし、今、非常に快適に過ごしています。

 実は自粛期間中から、猫を飼い始めました。ずっと飼いたかったんですが、会社に行くことを考えると二の足を踏んでいたんです。でも今は在宅が中心。めちゃくちゃかわいくて、ますます家に帰るのが楽しみになっています」(Bさん)

 Cさん(20代女性/建設業界)は、ボッチでいる方が気楽だが、社会がそうはさせてくれないのが悩みだった。

 例えば、女性社員が集まって食べるランチの慣習。学生時代から女性のグループ行動が苦手で、ストレスでしかなかったが、潮目が変わったのは職場の「3密」対策だ。

「職場でのクラスターを防止するべく、職場でのランチ中は、大人数にならない、あまり近くに座らない、原則会話禁止、食べ終わってからマスクを着用して会話すべし、みたいなルールができました。すると、一人でランチをするのが正当化できるようになったんです。ようやく私が生きやすい時代がきたと思っています」(Cさん)

 飲食店にも、一人で入りやすくなったという。

「いくらおひとりさま歓迎といわれても、これまでは気後れして入れずにいました。でも、いまならむしろ堂々と入れる。感染対策の優等生ともいえるくらいです。以前、『そうやって引きこもっているから、彼氏ができないんだよ』とディスってきた同僚もいましたが、そんな彼女はコロナで恋人と破局。人生は何があるかわかりません」(Cさん)

 もともと自宅が大好きな非リアたちにとって、密を避けるための「新しい生活様式」の多くは、何も新しいことのない、当たり前のことばかり。それぞれの過ごし方を楽しんでいるようだ。