再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって、中小水力発電の発電電力量は増加傾向にある。その一方で、法人を設立して参入する動きは他と比較すると低いようだ。

 矢野経済研究所は、中小水力発電事業者や発電設備機器メーカー、土木工事会社などを対象に、国内の中小水力発電による発電電力市場の調査を実施し、その結果を7月4日に発表した。調査期間は4月から6月にかけて。調査における中小水力発電はマイクロ水力(100キロワット未満)、小水力(100キロワット以上1,000キロワット未満)、中水力(1,000キロワット以上3万キロワット未満)の水力発電を指す。

 2012年から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により、水力発電のうち3万キロワット未満の中小水力発電が20年間の買取対象となった。これにより中小水力発電の開拓や再整備が行われ、市場は2014年度から急激に立ち上がった。

 中小水力発電の発電電力量の推移をみると、2016年度は前年度比4.0%増の490億キロワット時で、2020年度には511億キロワット時、2030年度には593億キロワット時まで拡大するとみられている。一方、FIT適用分をみると、2016年度の発電電力量は前年度比33.3%増の20億キロワット時、FIT買取金額は同33.8%増の523億円に増加した。2020年度については発電電力量が40億キロワット時で買取金額は1,000億円に、2030年度については発電電力量が119億キロワット時で買取金額は2,300億円に拡大するとみられている。今後、国内で増加していく水力発電電力量はその多くが中小水力発電によるもので、FITにより押し上げられていくことになると同社は指摘している。

 一方、東京商工リサーチは6月30日、2016年の「電力事業者の新設法人調査」の結果を発表した。この調査は、同社の企業データベース(対象327万社)の中で、2009年から2016年に新しく設立された法人のうち、電力事業者を抽出して分析した。

 2016年(1月〜12月)に新たに設立された新設法人は12万7,829社だったが、そのうち電力事業者は前年比18.1%減の1,791社となり、調査を始めた2009年以降で初めて2年連続で前年を下回った。1,791社の内訳をみると、太陽光やソーラーを利用エネルギーとする新設法人は同28.7%減の1,045社。一方、風力は同22.2%増の242件、地熱は同18.8%増の126件、バイオが同23.5%増の110件、水力が同5%増の84件など、太陽光・ソーラー以外は増加傾向にあった。

 中小水力発電事業市場は拡大傾向にあるものの、法人を設立して参入する動きは、他の電力事業と比べるとそれほど高くないようだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]