【イタリア現地取材】ラルコバレーノの財布が傑作たる理由は熟練職人の“手作業”にあった!の画像一覧
日本国内でも高い人気を誇るイタリア製のレザーブランド「ラルコバレーノ」。
あらゆる魅力が詰まった同ブランドの財布はどのようにして生まれているのか? 現地イタリアに飛び、その目で確かめてきた!
今回レポートするのは私、編集長・奥家!
奥家慎二
MonoMax歴14年目、2020年から編集長を務める。これまでも積極的に工場取材を行うなど、モノの生産背景やストーリー性を愛する。今回はイタリア工場で実作業も体験した。
スマートミニウォレットの魅力を探るべくいざイタリアへ!
ラウンドジップ財布、長財布など、これまであらゆる財布を使用してきた私、奥家。けれどこの1年くらいは、ラルコバレーノのスマートミニウォレットを毎日愛用している。
ラルコバレーノ
スマートミニウォレット
¥26,400
薄さわずか5㎜(公称値)のスマートさの中に、4枚のカード、コイン、紙幣、領収書などが収納できる万能ミニ財布。奥家が愛用するのもこちらの鮮やかなイエロー×ブラックモデル。
「研ぎ澄まされたデザイン」「鮮やかなカラーリング」「とにかく使いやすい機能」の3つが特に気に入っているポイントなのだが、使えば使うほど、この魅力的な財布の生産背景が気になってきた。
果たして魅力満載のこの財布はどのようにして作られているのか? 論より証拠、一路ラルコバレーノの故郷、イタリアに飛んでみることにした。
――6月の半ば、イタリア・ミラノラはすでに30℃に達する暑さ。ラルコバレーノのスマートミニウォレットが作られる工場はミラノ市街地からクルマを走らせること約30分、ヴァンザゲッロの地にある。
パイプなどが張り巡らされた、いわゆる“工場”といった感じではなく、緑に囲まれた、イタリアらしいカラーリングのような外観。けれど、中に一歩足を踏み込めば、私自身大好きなレザーの香りが染みわたっていた。
ラルコバレーノの財布を生産するミラノ工場。住宅街の中にたたずむ、まるで別荘のような建物だ。
後ほど詳しく紹介する工場責任者のカルロ氏を筆頭に、工場内で働く職人は15人ほど。今回は、実際に作業もさせてもらいながら、スマートミニウォレットが出来上がるまでのすべてを見せてもらった。
スマートミニウォレットができるまでを徹底レポート!
数多くの工程を経て誕生するスマートミニウォレット。レザーの切り出しから研磨・縫製など、熟練の技が必要とされる代表的な工程を詳しく解説!
1. すべては「型紙」から始まる!
カルロ氏が製作した型紙を元に作業開始。スマートミニウォレットでは18枚の型紙分、すなわち18枚ものレザーが重ねられる。
2. レザーの裁断
それぞれの型紙に合わせた鉄枠でレザーを切り出す。レザーの厚みにより圧力も微妙に変えているとのこと。熟練の技が光る。
3. レザー全体を漉(す)く
カルロ氏作成のレシピどおりに、0.1㎜単位で厚みの調整。この工程を経て、レザーの厚みが1㎜→0.4㎜になる。
4. レザーの部分漉きを行う
全体漉きが終わったら、接着面など少し薄さが必要になる部分を0.1㎜単位で漉く。これぞ熟練の腕がなせる業。
5. レザー同士の貼り付け
漉き終わった各レザーパーツに水溶性のゴム糊を塗って貼り付け。18枚ものレザーで構成されるだけに、その作業量は多い。
6. 適切な圧力でプレス
貼り付けたレザーを適切な圧力と温度でプレス。こちらもすべてを熟知したカルロ氏のレシピどおりに行われる。
7. 手作業メインの縫製
自動ミシンと手作業のミシンを使い分ける。平面は自動ミシン、厚みがあるものは手作業ミシンを用いる。
8. コバ塗り&研磨の繰り返し
工程内で一番驚いたのがコバ塗りと研磨の回数。ラルコバレーノの製品としての基準を満たすため、何度も繰り返されるのだ。
全体を通じて、目から鱗の出来事ばかりだったのだが、特に感動したのが、①使い勝手や美しさを計算し尽くされた型紙(レシピ)の存在 ②ほぼすべての工程が熟練職人の手作業で行われていること ③納得がいくまで繰り返される研磨とコバ塗りの3つ。高品質な素材と、これら熟練職人の技術や想いが組み合わさることで、名作財布が生まれている……というわけなのだ。
日本から約1万㎞離れたイタリアの地で、誕生の瞬間を実際に目にすることで、ますます自分のスマートミニウォレットに愛着が湧いてきたのであった。
スマートミニウォレットは“語れるポイント”の宝庫!
熟練の職人の手によるレザーの「漉き」が行われることで、18枚ものレザーがわずか5㎜に収まっている。
対称的に配置されたコイン入れと紙幣入れ。薄さを実現するとともに、使い勝手もグンと上げている。
背面にあるコイン入れ。片マチジップ仕様のため硬貨が一カ所に片寄りにくく、取り出しやすい配慮がなされている。
財布表地はフランスの高級老舗タンナー・アルラン社が手がけた、美しい発色と細やかな型押しが特長のゴートレザーを採用。自然な光沢が高級感を醸し出す。
ブランドキーパーソン スペシャルインタビュー
スマートミニウォレットをはじめ、独自の感性と技術力をフルに活用し、ラルコバレーノの財布を支えているカルロ氏。彼に「ラルコバレーノの魅力」を改めてうかがった。
カルロ・ザラ
ラルコバレーノの財布を生産する工場の責任者。19歳から工房に入り、確かな目とその腕で数多くの傑作アイテムを生み出してきた。
時には職人たちを鼓舞し、時には工具を手に自ら作業に臨むカルロ氏。スマートミニウォレットや数多くの名作を支えてきた、ラルコバレーノの財布を生産する工場の責任者だ。
「元々革小物に興味があり19歳からこの世界に。今は工場の責任者としてラルコバレーノのユーザーや日本からのリクエストに対して、早く美しく、情熱を持って対応しています。ラルコバレーノの強みは、厚みのあるレザーを薄くきれいにすいて、美しい製品に仕上げること。そして美しさだけでなくしっかりとした強度も持たせていること。そのためには、綿密に計算されたレシピが欠かせません」
ラルコバレーノの財布は、型紙ほか、カルロ氏が計算したレシピを元に作られている。そのレシピこそが、ラルコバレーノの財布の心臓部なのだ。そんな氏が、スマートミニウォレットの次に注目しているアイテムはあるのだろうか。
「スマホが入れられるミニショルダーバッグはおすすめです。ラルコバレーノのこれらすべての製品は、機能美+αが宿っていますから」
自ら工具を手にすることも多いカルロ氏。どの工程でも熟練の技を発揮する。
問い合わせ:エンメ TEL:03-6427-2261
https://www.emme-store.jp
撮影/Frankie Vaughan 取材・文/奥家慎二(MonoMax編集長)