アシックスは、次世代高機能素材として注目されているセルロースナノファイバー(CNF)を活用したシューズを世界で初めて商品化した。今回のシューズは、アシックスを代表する高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO25(ゲルカヤノ 25)」シリーズで、6月1日からグローバルで順次発売する。


CNFは、次世代素材として自動車への応用も期待されている

 CNFは、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら、その5倍以上の強度を有するとされるナノサイズ(1nmは1mmの100万分の1)の極細繊維のことだ。植物由来であり、地球上にあるほとんどの木質資源を原料にできるため、資源的にも非常に豊富な素材である。持続型木質バイオマス資源由来の、軽量、高強度、低熱膨張のナノ繊維であり、樹脂補強繊維としての利用が期待されている。そのため自動車、家電、塗料や繊維製品など、さまざまな分野で次世代の産業資材として注目されており、低炭素社会の実現にも貢献できる素材として、近年盛んに研究開発が行なわれている。

STARCEL製造プロセス(京都プロセス)

 今回、アシックスの高機能ランニングシューズに採用された素材は、NEDOプロジェクトの成果をもとに、星光PMCが開発したCNF複合材料「STARCEL」だ。NEDOプロジェクトにおいて、京都大学を主体とする産学連携グループがCNF補強の樹脂材料とその製造プロセスの開発(京都プロセス)に取り組んだ成果をもとに、星光PMCが2018年1月に商業生産を開始したCNF複合材料である。「STARCEL」は、高強度、熱膨張しにくいといった優れた特性を有している。

 今回、この材料が「GEL-KAYANO 25」のミッドソール部材の原材料の一部に採用され、世界規模で販売されるCNF適用シューズとして世界初の商品発売となったわけだ。
 GEL-KAYANOシリーズは、25年に渡り世界のランナーから注目され、愛され続けてきたランニングシューズだ。「GEL-KAYANO 25」のミッドソールには、軽量性とクッション性を兼ね備えた発泡素材「FlyteFoam Lyte」が使われており、この原材料の一部にCNF複合材料「STARCEL」が採用されたものだ。

FlyteFoam Lyteの拡大図

 NEDOは、これまでCNF補強の樹脂材料とその製造プロセスの開発を行う研究開発テーマを実施してきた。具体的には、京都大学を主体とする産学連携グループが、CNF補強の樹脂材料の開発と、木材パルプに化学処理を施した変性セルロースをポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの樹脂と混練し、同時にナノ解繊する製造プロセス(京都プロセス)の開発に取り組んだ。この研究開発の成果をもとに、星光PMCは独自に改良を重ね、CNF複合材料の製品化に成功し、「STARCEL」として、2018年1月から商業生産を開始している。