これまで数多くのクルマが世に送り出されてきたが、その1台1台に様々な苦労や葛藤があったはず。今回は「ニューモデル速報 第62弾 新型マークⅡ/チェイサー/クレスタのすべて」から、開発時の苦労を振り返ってみよう。

 新型マークⅡの開発を率いた渡辺忠清(主査)は、新型の狙いについて以下のように語った。
 「マークⅡはハイパーソナルカーという位置づけで、いわば小型車の最高のポジションにある。そうした特色をさらに強化するために、静かさや乗り心地の向上に力点を置いた。これまでは装備やデザインは良いが、走りの面で弱いと言われてきた。足回りはこれまでの機構を一新して、設計の自由度の大きいダブルウイッシュボーンを採用した。これでクラウンの高級感と、ソアラの持っている走りのイメージを加味して、ハイパワーパーソナルカーに仕立てよう」

 これまでマークⅡは年齢や性別を超えてかなり幅広い層に受け入れられてきたが、ハイソカーブームを経たことで若い人でもクラウンやソアラなどを購入しており、そのトレンドはマークⅡにも及んでおり、ただ豪華装備を増やすだけではユーザーの期待に応えられないというのが開発当初からの課題だった。そういったことも含めて、従来の良さを引き継ぎつつ、新鮮さを付けていこうという部分に苦心があったという。

ドライバーを周囲から包み込むコックピット感覚をテーマにデザインされたマークⅡのインパネ。メーターはエレクトロニック・ディスプレイ・メーターと称するデジタルメーターが備わる。

 なかでも苦労したのは、足回りの設定だった。
 渡辺は長年にわたって足回りの実験を担当しており、優雅なパーソナルカーにはエンジン出力のアップとともにしっかりとした足回りも必要と考えていた。だからこそ、今回のマークⅡでは足回りに対する想いは強かった。また、このクラスに限らず、高級化・高性能化というものが、人間の自然の欲求としてまだまだ続いていくだろうという見通しもあった。

 そのため、後輪にはダブルウイッシュボーンが採用されたのだが、これについて東富士研究所の第11技術部第1車両試験課長(当時)を務めた江原正晴は、「ダブルウイッシュボーンの採用は操安性の向上だけでなく、設計面でのゆとりが出てきます。ブッシュの特性などはかなり振動・乗り心地側に振っていますが、これまでのマークⅡと比べても直進性などは向上させることができました」と明かす。

 しかし、4ドアサルーンというカテゴリーの中で、走りの性能と居住性や静粛性とのバランスの取り方には苦労したという。一般使用領域でのチェックも多かったが、スポーツカーと同じような高速域でのテストも入念に行なったほか、社内のいろいろな部署から選んだモニターによる試乗会を開催し、きめ細かく情報をとって製品に生かした。

設計自由度の高いダブルウイッシュボーン式独立懸架をリヤに採用。ばね定数はツインターボ搭載車はわずかに硬めに設定されている。

 また、先代よりもマークⅡ、チェイサー、クレスタの印象を異なるものに仕立てる工夫が施された。例えば、ボディパネルもほとんど共通のものを使っていないという。さらにクレスタにはプレスドアを採用してキャビンとボディの一体感を高めている。チェイサーとマークⅡのハードトップでも、キャビンの形状を変えるなどしている。一方で、プロポーションの美しさを見せるために、全体的なデザインのまとめ方は共通させた。基本的なディメンションは同じだが、販売チャンネルのために3つ子車種にしているといった印象を無くす配慮がなされた。

チェイサー(GTツインターボ)クレスタ