ランボルギーニ最後のV8ミッドシップモデル「ジャルパ」が誕生してから、2021年で40周年を迎えた。そこで、ジャルパの前身であるウラッコやシルエットとともに、「ベビー・ランボ」と呼ばれたモデルたちの系譜をふり返ってみたい。(タイトル画像はジャルパ)

URACCO(ウラッコ:1970〜1979)

ランボルギーニは、ミウラやカウンタックといったV12搭載モデルよりもひとつ下、より実用的なモデルの開発を始める。「ベビー・ランボ」と呼ばれたこのモデルのターゲットは、当時北米で人気を集めていたポルシェ 911だった。

1970年のトリノ モーターショーで発表され、1973年にようやく発売された初のベビー・ランボが「ウラッコ」だ。車体の設計はスタンツァーニ、ボディのデザインはガンディーニが手がけた。

220psを発生する2.5LのV8 SOHCを横置きミッドに搭載して、2+2としたのもウラッコの特徴だった。エクステリアでは、当時のスーパーカーのお約束であるリトラクタブル式ヘッドランプや、リアピラー根元のエラのようなエアインテークが目をひいた。公称の最高速度は、240km/hに達している。

日本でも1974年当時のポルシェ 911S(805万円)に対抗する車両価格(808万円)で販売されたが、世界的にも911を凌駕することはできなかった。排気量を3Lにアップしたり、いくつかのバリエーションが存在するが、780台を生産して1979年にフェードアウトする。

SILHOUETTE(シルエット:1976〜1979)

ウラッコの販売が伸び悩む北米市場でのテコ入れのために、ランボルギーニは1976年のジュネーブ モーターショーで、オープン2シーターの「シルエット」を発表した。今回のターゲットは、「スモール フェラーリ」と呼ばれた308、そのタルガトップ版であるGTSだ。

ウラッコをベースに前後オーバーフェンダーやエアロパーツを装着し、ピレリP7タイヤを履かせたスタイルは、ウラッコよりかなり迫力を増していた。スタイリングはベルトーネが手がけ、FRP製のルーフを外せば308GTS同様のタルガトップとなった。

エンジンは、ウラッコの最終型P300用の3L V8 DOHCを260psにパワーアップしたものを横置きミッドシップ。公称の最高速度は250km/h、0→100km/h加速は6.5秒とされていた。

スタイリングも性能もブラッシュアップされたシルエットだったが、当時の日本でも308GTS(1230万円)より高い車両価格(1350万円)などの問題もあり、世界的にもウラッコ同様に販売は低迷。1979年に生産終了するまでの台数は、わずか55台にとどまっている。

JALPA(ジャルパ:1981年〜1988年)

1981年のジュネーブ モーターショーで、ランボルギーニは新たなベビー・ランボ「ジャルパ」を発表する。ベースとなったのは2年前に生産終了したシルエットだが、ベルトーネが手がけたスタイリングは、バンパーやスポイラー、エンジンフードなどがより獰猛なデザインにモディファイされていた。

基本的なメカニズムはシルエットと共通だったが、横置きミッドシップのV8 DOHCエンジンは、排気量が3.5Lにアップされた。排ガス規制の関係で最高出力は255psだったが、最大トルクはシルエットより4kgm多い32.0kgmとなった。最高速度は248km/hとアナウンスされている。

ルーフを外せばシルエット同様にタルガトップとなり、インテリアではリクライニングシートやクラッシュパッド付きステアリングなどの採用で快適性を高めていた。1984年のジュネーブ モーターショーでシリーズIIが発表され、エアインテークとボディが同色となり、テールランプのデザインも変更。エアコンとパワーウインドーが標準装備された。

こうしたさまざまなリファインにもかかわらず、ジャルパもターゲットとした308GTB/GTSを凌駕することはできなかった。日本では、当時の308GTBiより90万円高い1540万円という車両価格もネックとなったようだ。1987年にランボルギーニの親会社となったクライスラーは、翌1988年にジャルパの生産終了を決定。総生産台数は420台だった。

そして、ガヤルドからウラカンへ。ベビー・ランボの系譜は続く

ジャルパは、現在のところランボルギーニ車で最後のV8ミッドシップモデル(ランボルギーニではグランドツーリングセダンと呼んでいるが)となっている。V8エンジンを搭載したランボルギーニ車は、2018年にスーパーSUVの「ウルス」が登場するまで30年間、姿を消すことになる。

1998年、アウディの傘下となったランボルギーニは2001年にフラッグシップの「ムルシエラゴ」を発表し、成功をおさめる。そして2003年、新たなベビー・ランボの「ガヤルド」を発表。ただし、そのパワーユニットはV8ではなく、アウディ由来のV10エンジンであった。

ムルシエラゴ譲りのベビー・ランボらしいスタイリングとV10のもたらすパフォーマンスでガヤルドは人気を集め、2013年に後継となる「ウラカン」にバトンタッチするまで、1万4022台というランボルギーニ史上最多の生産台数を誇るヒット作となった。

ちなみに、この数値を後継モデルのウラカンは既にクリアしており、さらに台数を増やしている。V8搭載のウラッコにはじまったベビー・ランボの系譜は、30年以上の月日を経てV10搭載のガヤルドでようやく花開いたことになるのだろう。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明/写真:アウトモビリ ランボルギーニ S.p.A.)