2023年8月25日金曜日、F1第14戦オランダGPが首都アムステルダム近郊のザントフォールト・サーキットで開幕する。3週間の夏休みを終えて、F1グランプリはここからシーズン後半戦を迎える。ここではオランダGPはどんなグランプリとなるのか見てみよう。
各チームがどこまでアップデートしてくるか
シーズン前半はマックス・フェルスタッペンとレッドブルがF1グランプリを席巻。フェルスタッペンは開幕戦バーレーンGPと第3戦オーストラリアGPを制した後、第5戦マイアミGPから8連勝をマークし前半戦だけで10勝。優勝を逃した2つのグランプリでも2位に入っており、ほぼ完璧なシーズンを送っている。
また、フェルスタッペンが優勝できなかった第2戦サウジアラビアGPと第4戦アゼルバイジャンGPではチームメイトのセルジオ・ペレスが優勝しており、レッドブルは開幕から負けなしの連勝を続けている。
ただ、ライバルとしてもこの状況を黙って見ているわけにはいかない。シーズン序盤はアストーマーティンが躍進してレッドブルを追い、その後、フェラーリ、メルセデス、マクラーレンが調子を上げてきている。3週間のインターバルでこれらのチームがどこまでアップデートしてくるか、注目したい。
●2023年F1ドライバーズランキング(第13戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)314
2位 S.ペレス(レッドブル)189
3位 F.アロンソ(アストンマーティン)149
4位 L.ハミルトン(メルセデス)148
5位 C.ルクレール(フェラーリ)99
5位 G.ラッセル(メルセデス)99
7位 C.サインツ(フェラーリ)92
●2023年F1コンストラクターズランキング(第13戦終了時)
1位 レッドブル 503
2位 メルセデス 247
3位 アストンマーティン 196
4位 フェラーリ 191
5位 マクラーレン 103
コース幅が狭く、コーナーが連続しているため、抜きどころが少ない
こうして迎えるシーズン後半の初戦がオランダGPというのは運命的。オランダGPはしばらくF1開催が途絶えていたが、地元出身のフェルスタッペンの活躍により開催の気運が高まり、2021年に36年ぶりに復活。その2021年と2022年ともにフェルスタッペンが優勝しており、「フェルスタッペンのためのグランプリ」となっている感がある。
もしフェルスタッペンが母国GPの熱狂的な応援の中で連勝をさらに重ねれば、このまま一気に流れに乗っていくかもしれない。逆にここでフェルスタッペン&レッドブルを倒すチームが現れたら、シーズンの流れは大きく変わることになるだろう。
オランダGPが行われるザントフォールトサーキット(Circuit Zandvoort)は、1952年に初めてF1グランプリが開催された伝統のあるコースで、2021年のF1グランプリ復活の際に全面的に改修されているものの、やはりどこかクラシカルな雰囲気が漂う。
全長4259mと比較的短いコースに14のコーナーが配され、コース幅が狭くコーナーが連続して続くため抜きどころが少なく、ターン3とターン14にはバンクが設けられているためコンパクトなコースにかかわらず平均速度が高いのが特徴。また、北海の海岸線に位置するビーチリゾート近くにあり、風が強く、飛来した砂により滑りやすい路面になる。
理論上最速の戦略は2ストップだが、1ストップも可能か
昨年2022年のオランダGPでは、1ストップ戦略でレースを走り抜く奇襲作戦に出たメルセデス勢が優位に立ったが、残り12周でフェルスタッペンはソフトタイヤでミディアムのハミルトンをオーバーテイク、フェルスタッペンがバーチャルセーフティカーとセーフティカーが勝負の鍵を握る混乱のレースを制した。3つのコンパウンドすべてを使っての勝利だった。
フェルスタッペンが前年に続いてオランダGP2連覇を達成、シーズン10勝目でチャンピオン争いでも独走体制を築き上げることになった。
●【参考】2022年F1第15戦オランダGP決勝 結果
1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)72周
2位 63 G.ラッセル(メルセデス)+4.071s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+10.929s
4位 44 L.ハミルトン(メルセデス) +13.016s
5位 11 S.ペレス(レッドブル)+18.168s
6位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー) +18.754s
7位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス) +19.306s
8位 55 C.サインツ(フェラーリ)+20.916s
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー) +21.117s
10位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+22.459s
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11位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・レッドブル)+27.009s
リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル )
ファステストラップ: 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)
アップダウンの連続×バンクではタイヤに大きなストレスが
タイヤを供給するピレリは、オランダGP開幕を前に「ザントフォールトサーキットは曲がりくねったトラックで、速くて狭いコーナー、大きな減速、厳しいアップダウンが続き、2つのコーナー (ターン3 とターン14)に設けられたバンクではタイヤに大きなストレスがかかります。このため供給するタイヤは最も硬い C1、C2、C3と昨年と同じになりますが、C1のコンパウンドが昨年のものよりも柔らかいものとなります。理論上、最速の戦略は2ストップですが、1ストップも可能と予想しています。昨年はほとんどのドライバーが3トストップとなりましたが、それはセーフティカーによるものでした」と分析している。
さて2023年はどんなレースとなるのか。第14戦オランダGPは8月25日12時30分(日本時間19時30分)から始まるフリー走行で開幕する。
●2023年F1第14戦オランダGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:8月25日12時30分〜13時30分(日本時間19時30分〜20時30分)
フリー走行2回目:8月25日16時〜17時(日本時間23時〜24時)
フリー走行3回目:8月26日11時30分〜12時30分(日本時間18時30分〜19時30分)
予選:8月26日15時〜16時(日本時間22時〜23時)
決勝(72周):8月27日15時〜(日本時間22時〜)