2021年8月にペブルビーチでお披露目されたランボルギーニNewカウンタック「LPI 800-4」が、ついに公道を疾走。公開された動画では、セコンド プロトティーポ、25thアニバーサリーエディションとともに、超豪華なランデブーシーンを繰り広げている。伝説的名車の名を冠して復活したこのモデルは、いったいどんなスーパーカーなのか。(Motor Magazine Mook スーパーカー パーフェクトファイル 2021-2022より)

オリジナルへの敬意を込めた復活劇は、「血統」値が高すぎて

カウンタックLPI 800-4は、6.5L V12エンジンと48Vの電気モーターを組み合わせたハイブリッドパワートレーンを搭載する、新世代のスーパーカーだ。システム総出力は814psで0→100km/h、0→200km/h加速はそれぞれわずか2.8秒、8.6秒でこなし、最高速度は350km/hを超える。

すでに、限定112台を完売。2022年第一四半期から、世界中の幸運なオーナーたちへとデリバリーが開始されることになっている。おそらくはそう滅多にお目にかかれない希少車だけに、公開されたムービーで魅せる走行シーンはなかなかに刺激的だ。

そう、まさに「血統」値が高いのである。

8月恒例のモントレーカーウィークにてデビューを果たした″新型〟カウンタック(クンタッチ、クンタッシ)。マニアの間では賛否両論ある。賛成はもちろん、反対にもカウンタック愛が満ち溢れているのだから、偉大なネームだ。

否定する人の意見をまとめればこうなるだろう。「マルチェロ・ガンディーニのスタイリングを超えることはできなかった」。確かにそうだ。もちろんランボルギーニ社だってガンディーニデザインを超えることができるなどと思っていなかったに違いない。

チーフデザイナーのミティア・ボルケルトに至っては、熱狂的なガンディーニ カウンタックのファンだ。それに、超えることのできそうなスタイリングなどあえてリバイバルさせる必要もない。それは過去の事例からも明らかだ。

オリジナルを超えることができていないからと言って、新型で世界限定112台のLPI800-4がカウンタックと名乗る資格がないかというと、筆者はそうは思わない。どころか、このリリース写真を見た瞬間、そしてその中身がシアンであることを知った瞬間に、やっぱりこのクルマ「もまた」カウンタックだと確信した。

奇才により奇跡的に生み出されたデザイン

それは、なぜか。このクルマが間違いなくカウンタックの由緒正しき血統を紡いでいたからだ。

否、あえて言えばカウンタック以降のすべてのフラッグシップ、つまりディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドール、そしてそれらの派生モデルはすべて「カウンタック」だった。事実、アヴェンタドールに乗っていて「かっこいいカウンタックですね!」と話しかけられたこともしばしばある。

カウンタックの由緒正しき血統とは何か。ガンディーニデザインはもちろん世界を圧倒した。あのカタチを見た誰かが「コォウーンタッシ」(びっくりこいたなもう)と叫んだから、この名前になった。奇才による奇跡のデザイン。それは間違いない。けれども、血統を探るにはどうしてあのデザインが生まれたかを考えなければならない。

ガンディーニは決して、単なる思いつきであのデザインを描いたわけではなかったからだ。

カウンタックを生み出したもうひとりの重要人物がいた。彼の名はパオロ・スタンツァーニ。惜しくも鬼籍に入られたが、彼なくしてカウンタックは生まれなかった。彼のとあるアイデアがなければガンディーニが奇跡のデザインを描き出すこともなかった。

それは長く巨大な12気筒エンジンの前方、つまりキャビン側にトランスミッションを組み合わせるというアイデアだった。60年代末にかのジャンパオロ・ダッラーラの後を継いでランボルギーニ開発部門の陣頭指揮を取ることになったスタンツァーニは、12気筒エンジンを横置きミッドにしたミウラに代わるフラッグシップモデルの開発に取り掛かる。

縦置きエンジンへのこだわりが生んだLPレイアウト

彼はエンジン縦置きにこだわった。けれどもそうするとトランスミッションケース本体はリアアクスルから後方へ大きく張り出してしまい、ル マンカーならともかくロードカーとしては成立しなくなる。

ただでさえ巨大なエンジンをどうやって縦置きリアミッドに設計するか。気筒の方が理にかなっていることはわかっていたが、それではランボルギーニの旗艦モデルとして不足。やはり12気筒だ。そこでスタンツァーニはパワートレーンごと″ひっくり返す″という奇策を思いつく。この時点ですでに将来の4WD化も見据えていたという。

キャビンにトランスミッションケースが出っ張り、大きなエンジンはリアアクスルの前に鎮座、F1マシンのようにサイドラジエータ方式を採用する。ガンディーニはそんなスタンツァーニの奇策、LPレイアウトをベースにオリジナルデザインを描いた。ちなみにLPとは、イタリア語で「縦方向後ろ」を意味する「Longitudinale Posteriore」を略したものだ。

同時に、十分な乗員2名用のキャビンスペースも確保しなければならない。必然的にそのスタイルは短くそして平らになる。カウンタックの象徴というべきシザースドアもまた、「なければ乗り降りできない」という必然だった。

こうして71年にプロトタイプが誕生した。2021年はきっかり50周年。ランボルギーニ社は当初、ミウラ40周年時のコンセプトカーのようなショーカーを作るつもりだったのだろう。

それはリバイバルではない。あくまで正統的進化形なのだ

ところがエンジニアリングチームとデザインチームが公道を走るクルマにこだわった。サイズやデザインだけを考えたなら、V10エンジンを積んだウラカンをベースにすることもできたであろう。

けれどもそれこそ″クンタッチ〟ではなくなる。どれほどガンディーニデザインに迫っていようとも、はたまた優れていようとも、ウラカンベースではもはや“クンタッチ”とは言えない。なぜならそこにオリジナルカウンタックの血統がエンブレム以外に見当たらないからだ。

開発陣はそこも熟知していた。カウンタックをカウンタックたらしめているのはスタンツァーニのLPレイアウトであると。だから最新作である(LPレイアウト)シアンをベースにオマージュを作り上げた。

そこには由緒正しき血統があった。カウンタック以降、受け継がれてきたLPレイアウトという血統だ。ランボルギーニのフラッグシップモデルは、ディアブロ以降もまた、「名を変えたカウンタック」なのだから。(文:西川 淳/写真:アウトモビリ ランボルギーニ)

●ランボルギーニ カウンタックLPI 800-4 主要諸元

●全長×全幅×全高:4870×2099×1139mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1595kg
●エンジン:V12 DOHC
●総排気量:6498cc
●最高出力:574kW(780hp)/8500rpm
●最大トルク:720Nm/6750rpm
●モーター最高出力:34hp
●モーター最大トルク:35Nm
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●タイヤサイズ:前235/30ZR20、後355/25ZR21
●最高速度 355km/h
●0→100km/h 2.8秒
●0→200km/h 8.6秒