マツダが新しい先進運転支援システム「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」を発表した。2022年から順次市販車への採用を進めていくというこの新しいシステムは、ドライバーを主体としたマツダらしいものに仕上がっているという。その全貌を開発車両の試乗レポートも交えながら解説していく。

あくまでもドライバーの補助という立ち位置の一歩進んだ運転支援技術

マツダには「クルマは走って楽しむもの」という考えが根底にあり、ロードスターはその典型。楽しめるクルマづくりとして人馬一体というキーワードがあり、それが発展して今では人間中心の設計というマツダ車全体のフィロソフィーともなっている。

2022年から展開を始める「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」は、その名が示すとおりドライバーをそばで見守ってくれるパートナーという位置付けの自動運転技術であり、じつにマツダらしい考え方のシステムだ。

ドライバーが正常なときには、骨盤を立てて人間のバランス保持能力を引き出すシートや、足を自然に伸ばした位置にペダルを配置するなど、ドライバーの能力を引き出すクルマづくりで運転を存分に楽しませながら、その裏でドライバーの状態を常時検知しながら、クルマが自動運転できるようにスタンバイしている。

いざドライバーに異常が発生して運転できない状態になれば、クルマ側がオーバーライドして運転を交代し、安全な場所に停止させるというのがMAZDA CO-PILOT CONCEPTの基本的な機能。ドライバーの異常は視線と頭部の挙動、ハンドルやペダルの操作量、姿勢の崩れなどをモニタリングして総合的に判断する。

システムは異常発生時にどのような対処をするか

2022年から採用を始める「MAZDA CO-PILOT 1.0」はドライバーの異常を検知すると、一般道では車線を維持したまま減速停止、高速道路ではそれに加えて路肩退避がなされ、ハザードランプやストップランプ、ホーンによって外部に異常を知らせ、緊急通報も行われる。

導入の3年後となる2025年には「MAZDA CO-PILOT 2.0」への進化を予定している。異常検知以前の予兆検知技術を導入し、高速道路では車線変更や路肩、非常停止帯への退避が加わり、一般道での退避技術も進化するという。

道路状況を見極め適切に車両を停止

今回はテストコースで「MAZDA CO-PILOT 2.0」のプロトタイプに試乗。まずは高速道路での走行を想定して直線路を80km/hで巡航していると、いきなりドライバーが姿勢を崩して助手席側にもたれかかるような動作をする。

するとシステムが異常を検知してドライバーに音声やメーター表示で警告を発するとともに、ハザードランプを点灯させてホーンも鳴らし始めた。ステアリングホイールもペダル類もまったく操作していないが、クルマは車線変更を含めて安全に走行を続け、非常停止帯を見つけて停止した。一般道想定では、コーナーの連続する区間でやはり姿勢を崩して運転を放棄。同じようにクルマが運転を代わってくれて非常停止帯に安全に停止した。

同乗者を落ち着かせるための配慮にも感心

ドライバーに代わってシステムが運転しているとき、センターディスプレイに「ドライバーの異常を検知しました」「車線変更します」「減速します」「安全な場所に移動します」「ヘルプネットに接続します。外に出る時は周りにご注意ください」などという案内が表示され、同様の音声アナウンスもされるが、これは主に同乗者向け。ドライバーは意識を失っていると想定されるからだ。

同乗者を慌てさせないため、アナウンスに落ち着いた男性の音声が採用されている。また、コーナーを走る際には助手席目線で余裕のあるライン取りを行うなど、信頼感・安心感を感じさせるための細かな配慮もなされている。

第2世代のシステム像もすでに見えている

MAZDA CO-PILOT 1.0は、今ある先進安全技術「i-ACTIVSENSE」のセンサー類を利用するので限られた機能となるが、次世代の2.0でカメラが12個追加され、さらにダイナミックマップなどの3D高精度地図データやロケーターECUも搭載されるので、車線変更や非常停止帯への走行が可能になる。

自動運転のレベル3やレベル4では、自動運転車のODD(運行設計領域)から外れた場合にドライバーが運転を引き継がなければならない。しかし、その引き継ぎがなされない場合には周囲へ警報を発しながら安全に停止させるMRM(ミニマム リスク マヌーバー)が必要とされている。MAZDA CO-PILOT 2.0は機能的には同様といえるだろう。

あくまでもドライバーが主役というマツダの理想と安全の両立を追求

だが考え方や位置づけは違う。MRMは本来「完全ではない自動運転の、補助的な役割」を担うのだが、マツダは現時点でも有効な安全技術と捉えて広く普及させようとしているのだ。だからこそ、MAZDA CO-PILOT 1.0の役割がある。

また、マツダは自動運転技術をドライバーに置き換わるものではなく、ドライバーに運転を楽しんでもらいつつ、万が一のときにドライバーを含めた乗員、および周囲のクルマや人に安全・安心を届けるものと捉えており、あくまでサポートする存在としている。その考え方にもMAZDA CO-PILOT CONCEPTはぴたりと合致するわけだ。(文:石井昌道/写真:マツダ)