2023年1月20日、アウディジャパンは都内で年頭記者会見を開催し、2022年の業績を振り返るとともに、2023年にさらなる急速充電ネットワークの拡充を主軸とした電動化戦略に注力することを発表した。(タイトル写真はアウディジャパンのマティアス・シェーバース ブランドディレクターとQ4 スポーツバック e-トロン)
2023年は前年対比3倍のBEV販売を目指す
2022年、アウディ車は日本で2万750台を登録(前年比92.1%)、そのうちBEV(バッテリー電気自動車)のe-トロンは808台で、BEV販売比率は約3.9%(2021年は約1.5%)だった。e-トロンは新たに4車種が投入され、中でもQ4 e-トロンは2000台以上も受注するなど、なかなかの好調ぶりを見せている。
2023年は戦略の柱として、以下の4点を掲げている。
●1)e-トロン モデルの販売強化
Q4 e-トロンは通年で販売する初めての年となり、前年以上の受注が見込まれる。また、フラッグシップのe-トロンGTは納車まで1年待ちの状態となっているが、供給量を拡大して納車までの期間を短くする。そして、e-トロンのハイエンドモデル「Q8 e-トロン」も導入する。これらにより、2023年のBEV販売比率は前年対比3倍の12%を目指している。
●2)さらなる急速充電ネットワークの拡充
現在、150kWの急速充電器はアウディ ディーラーの52カ所に設置されているが、2023年中には全ディーラーの102カ所に設置する。また、「アウディ チャージングハブ」と呼ばれる、都市型急速充電ステーションも(おそらく都内に)設置する予定だ。ポルシェ、フォルクスワーゲンとの「プレミアム チャージング アライアンス(PCA)」も引き続き展開し、約210拠点222基の急速充電器を3ブランドのオーナーは利用できる。
●3)ディーラーとの緊密な連携構築
ディーラーのセールスマンに対し「e-トロン資格認定制度」を設け、ユーザーがe-トロンの所有検討をしやすい環境作りやサポート体制の強化を図る。
●4)サステイナビリティのメッセージ促進
環境や社会的責任に対して一人ひとりの行動で未来は変えられるというメッセージを通して議論の場を提供したり、日本が2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減するために欠かせない、グリーン電力に関して産学官の未来共創ミーティングをアウディが開催する。
パワーエックス社との事業提携でプレミアムBEVブランドのNo.1を目指す
中でも、さらなる急速充電ネットワークの拡充のために、アウディジャパンはパワーエックス社と事業提携の基本合意書を締結した。パワーエックス社は、大型蓄電池の製造・販売、EVチャージステーションのサービス展開、電気運搬船の開発・製造などを手がける会社だ。
パワーエックス社が開発・製造する最大出力240kWの蓄電池搭載型超急速EV充電器「ハイパーチャージャー」の全国アウディ e-トロン店への導入、およびアウディジャパンと展開を検討している「チャージングハブ」の共同運営、ならびにその他関連する協業の検討を開始する。これらの取り組みにより、両社はBEVの利便性の向上を図るとともに、より身近な再生可能エネルギーを活用した充電体験の提供により、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを加速させる。
高出力の急速充電器を使えば、わずか10分の急速充電でもBEVは十分な走行可能距離を得ることができる。つまり、エンジン車のガソリンスタンド的に短時間の充電でBEVが使えるようになれば、インフラのないマンション住まいのためBEV購入に二の足を踏んでいるオーナー予備軍を、BEVオーナーにすることも可能になるというわけだ。
2025年には内燃エンジンを搭載した最後のニューモデルを生産し、2026年から新たに発表するモデルはすべてBEVとし、2033年には内燃エンジンの生産を停止(中国を除く)すると宣言しているアウディ。まず2023年は、プレミアムBEVブランドのNo.1を目指していく。
世界で1台のスーパーBEV「S1 フーニトロン」も特別展示!
今回の発表とは直接関係はないが、去る2023年1月2日に不慮の事故で急逝したケン・ブロック氏が駆る動画で人気を呼んだ、世界で1台のスーパーBEV「S1 フーニトロン(Hoonitron)」も特別展示された。
伝説的なラリーマシンである、アウディ スポーツクワトロS1をモデルにしたスタイルに、500kW/640Nmを発生する電動4WDのS1 フーニトロン。今回の発表会に続き、以下の予定で展示されるので、お見逃しなく!
●1月21日(土)〜23日(月):六本木ヒルズ 大屋根プラザ
●1月27日(金)〜29日(日):二子玉川ライズ ガレリア
●2月3日(金)〜5日(日):MARK IS みなとみらい 1F グランドガレリア